第25話 次期女王
スリーはやっとナイトキラーの世話を終わって、ふと辺りを見回すと、ほとんど誰も居なかった。
「あれ、みんなもう帰ったの」
「スリーが最後に孵化したドラゴンだったからね。
これから私達家族が女王と謁見をして、これからの事を話すんだって」
「そうだ。忘れていた。
ナオミは?
ナオミが、次期女王になるって本当なの?」
「ナオミは後ろの方で、お母さんと話している。
それに、ナオミが次期女王になるのは本当に、本当の事よ!!」
「えーと?
どう考えていいのか分からないや」
「それをこれから話すんでしょ。
あ、女王がお見えになった。
スリー。行儀よくしてね!」
「言われなくったって、それくらい分かるよ!!」
女王は、5人のエルフを従えてスリー達の方にゆっくりと歩いて来た。
5人のエルフはフードを被っているので顔が見えなかった。
スリー達と挨拶を交わした後、女王は静かに話し出した。
「ナオミの家族には王宮に今夜から住んでもらいます。
次期女王としての教育を私が教える為と警護の関係からです。
サーシャリャーには、いつもどおり通っても問題ありません。
以上ですが、何か質問はありますか?」
マリネラが質問をした。
「ナオミが次期女王になるのを、反対をしているエルフ達がいましたが、問題ないのでしょうか?」
「それは、あまり問題ではありません。
私の一族の中に
民の為に尽くすのが王族の勤めなのに、本末転倒しています。
私が説得をします。
伝統的に、マザードラゴンと感応した者が女王になると決まっています。
私もそうでした。
普通の家で育ちましたが、マザードラゴンと感応して全てが変わりました。
それを彼らが理解しなければなりません。
今は変化の時に来ています。
もし何かあれば、マザードラゴンが私に教えてくれるので、大丈夫です」
スリーが手を上げている。
「確かスリーでしたね。
手を上げなくてもいいですよ。ここはサーシャリャーではないですから。
質問をどうぞ」
「ナオミとは、家族のように暮らしていたので、これからどうしたらいいか分かりません」
「貴方たち家族が王宮に住むという事は、王族の一員になると言うことです。
次期女王の家族として、ここに住んでもらいます。
分かりやすく言えば、スリーは次期女王の兄妹と言うことになります。
難しい話をすれば私の亡き後、ナオミの夫君、あるいは次の女王が現れるまでは、スリーは第1王位継承権があり、ニンフルには第2王位継承権が与えられます。
マリネラ教授は、もし私が亡くなれば、国母としての役割を担うことになります。
皆んさん、大丈夫ですか?」
女王が聞くのも無理はなかった。
スリーとニンフルは、これから起こる事に、想像をはるかに超えた出来事の連続で頭がついて行かなくて、思考が止まっていた。
マリネラは、国母が何か分からなく、返答に困っていた。
その点ナオミは、女王の言葉を素直に聞いて冷静に判断をしていた。
マリネラが疑問を聞いた。
「国母とは、今まで聞いたことがなかったのですが、どの様な役職なのでしょうか?」
マリネラの質問が
「オホホホ。
マリネラ教授、国母は役職ではありません。
女王の母として、彼女から相談を受けたり、式典やイベントに女王と一緒に参加します。
時には、スピーチを求められる事がありまが。
私の母が国母でしたが、遠い昔に亡くなられています。
マリネラ教授が知らないのは当然ですね」
お母さんの話で我に帰ったニンフルは、優等生らしくこれからの現実の生活を頭の中で考えて分からないことがあったので、女王に聞いてみることにした。
「女王さま。
ナオミが女王になったら、スリーと私は王兄殿下と王姉殿下でいいのでしょうか?」
「貴方がニンフルですね。とても優秀な子だと聞いています。
継承の呼び名はその通りです。
名前の後に殿下を付けるのが普段の呼び方になります」
ナオミが封印を解くように、核心的な事を聞いた。
「女王。
私には機械の知識があるのですが、それを宮殿で使用してもいいのでしょうか?
サーシャリャー内では禁止されていました」
「エルフは長い間、魔法にだけ頼って生きて来ました。
それは澱みを生み、差別社会になってダークエルフの存在を生んでしまいました。
それを教えてくれたのが私の実の妹のルフクーダエ教授で、エルフの長い歴史を現在も解明してくれています。
このままだと、永久的に彼らと戦争状態になったままで、両種族共に良いことではありません。
ドラゴンの精霊が貴方を選んだのは、この惑星を真の平和を成すため選ばれたと思っています。
ナオミが良いと思ったことは、実行すべきだと私は思っています」
「心強い助言を、ありがとうございます」
「ナオミは王家の血を引くだけあって、その年齢でも風格が
この世界の先行きに、とても安心をしました。
さて、明日からドラゴンの世話で大変ですが、明日の夕食を一緒にいかがですか?」
マリネラ教授が、心の平静を取り戻していたので、すぐに返答ができた。
「謹んで、夕食を共にしたいと思います」
「それで決まりですね。
それでは明日の夜に」
そう言うと、女王達は王宮に戻って行った。
代わりに、向こうから執事の格好をした4人のエルフ達がやって来た。
ルフクーダエ教授って女王のお姉さんだったんだね。知らなかったよ。
で、この4人の執事達は何者???
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