第19話 川イルカ競技

 それから二週間後、サーシャリャーの地区対抗川イルカ競技がいよいよ開催された。


 初日はサファイア区とエメラルド区で、サファイア区が一点差で最初に白星を出した。

 2日目の日にクリスタル区とアクアマリーン区のカードになった。


 総当たり戦で、全6試合がある。


 各地区には希少価値の宝石が産出され、それぞれの宝石の名前で呼ばれている。


 クリスタル区はナオミが住んでいる地区で、クリスタルの中でもアメシストとシトリンは有名。誕生日にはガラスの中に細工をした物を贈るが、結婚記念などにはこのクリスタルの中に細工した物を贈るので、供給が追いついていないくらい人気が高い。

 クリスタル区の川イルカ競技のトレードマークは、南の亜熱帯に住んでいる巨大な川イルカを図案化している。この川イルカは凶暴で、水を飲みに来ている野生の馬をも川に引きずり込む。

 この川イルカの名前がダンケルイルカなので、応援の時には「ゴーゴーダンケル」と言って応援している。

 この図案かっこいいよね。襲いかかる強さが出ているよ。


 サファイア区でのスターサファイアは希少価値が高く、光をあてると六条の光を出し、魔力を高めるため人気が高い。エルフの王女とサーシャリーがある区でもある。

 サファイア区のトレードマークは北の山に住む凶暴なクマの種類の中でも最も強いとされているタンポポグマだ。タンポポの匂いを嗅がせると寝てしまうのでこの名前がついている。応援時には「ゴーゴータンポポ」と言っている。

 サファイア区は万年最下位でさえない。この応援が良くないと思っている人達がいるのは否定できない。

 いくらさ、凶暴なクマでも、応援がタンポポでは気が抜けちゃうよね。

 作者の手抜きでは?


 エメラルド区では特にエメラルドキャッツアイが有名で、猫の目の様に光の筋が入って、これも魔力を高めるので人気が高い。

 エメラルド区のトレードマークは山猫で、馬ほどの大きさのあるネズミネコだ。

 猫にしては前歯が2本だけ鼠の歯の形をしている。応援時には「ゴーゴーキャッツアイ」と言っている。

 鋭い爪が強調的な図柄だね。俺は気に入ったね。


 アクアマリーン区では深い色のマリンブルーが人気で、川イルカ競技の守りの石でもある。ほとんどの選手が持っているし、応援する時にも持つ人が多い。

 アクアマリーン区は毒を持っているマリネスウミヘビがトレードマークで、同じように「ゴーゴーマリネス」と言って応援をしている。

 う、毒ウミヘビだって。チョット怖そうだよね。


 今回は、観戦者の殆どがクリスタル区とアクアマリーン区の生徒で、両岸に分かれて始まりの合図を待ちわびていた。


 ニンフルとナオミも応援に来ていて、クリスタル区の補欠が座っている直ぐ後ろの席にいた。

 ナオミは初めて見る川イルカ競技に、興奮を抑えきれずにいた。


「ニンフル〜、私楽しみ〜〜。

 初めてなんだ、見るの」

「ナオミは運動神経がいいから、来年頑張って選手になればいいと思うよ」

「え〜〜私が。

 ン〜〜。そうだね、頑張ってみようかな。

 リーダーのナーニアがすごくカッコいいもの」

「今回の競技では唯一の女性のリーダーだしね。

 それに、ゴールに入れる技もすごいよ。

 ゴール前でイルカとジャンプして、さらにそこからナーニアがジャンプして叩き込むんだ。

 時にはフェイントで、イルカが入れちゃうんだよ」

「わー見てみたい」


 スリーの後ろで2人がお喋りをしているので、後ろを振り向いた。


「あのさニンフル、もう少し静かにしてくれないかな?

 神経が集中できないよ」

「スリーは、今回でないから大丈夫だよ。

 気を楽にして観戦していれば」

「ナーニアから言われているんだ。

 もしかしたら、誰かと変わるかもって」

「え、本当なの?

 あ、始まるよ」


 いよいよ試合が始まる。

 相手チームにスリーのライバルのスームリの姿も見えた。

 スリーは、もしかしたら出場するかもしれないので、神経が最高に高まっていった。

 お、スリー頑張れよ。君なら活躍できるよ!!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る