エルフの惑星カーン

坂本ヒツジ

プロローグ

 地球を離れてすでに27年、冷凍睡眠から目覚めた乗組員達は、目的地である緑豊かな惑星カーンに目を奪われていた。

 北極と南極は氷に覆われており、大陸は七大陸に分かれ、海は陸地の5倍の面積があった。

 探査機機から送られてくるデーターは全て予想通りの数値を示しており、人間が住める事を意味していた。


 一つだけ予想とは違うデーターが送られて来て、みんなが驚いた。

 知的生命体の存在を示しているデーターで、既に高度な文明が築かれていた。

 画像を分析してみると、人間によく似ており、強いて言えば耳の形が少し長いくらいだった。


 新天地を探しに来た乗組員達は、意気消沈を隠せなかった。

 地球連合の規則で、知的生命体のいる惑星には大規模な移住が許されてないからで、この惑星がそれに当たっていたからだ。


 衛星軌道上から数日かけてこの知的生命体を調べると、更に驚くべき事実が発見された。

 第1に、魔法を使っており、それによって文明が成り立っている事。

 第2に、ドラゴンを移動手段として、空を自由に飛んでいる事。

 第3に、種族戦争をしており、多くの生命が失われている事。


 これからの予定を決めるために連日会議が開かれていて、地球にすぐに帰るか、あるいはここにいて、この知的生命体を調べるか意見が分かれていた。

 最終的に乗組員達は地表に降りて、この知的生命体にコンタクトを取ることに決め、害が無いようだったら数年間、この惑星を調べることにした。

 特に、ドラゴンと魔法のメカニズムを知りたがった。


 数年後、母船は地球への帰途についたが、数名この惑星に残る決意を人達がいた。

 この惑星で結婚して子供が生まれた夫婦と、高齢者の女性の3人だった。

 再び母船がこの惑星に来ることは保証されていないので、彼らはこの地で骨を埋める覚悟を決めていた。


 それから十数年後の話。


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