オートマトンの祈り

@svafnir

プロローグ

 夜が明けようとしていた。

 白み始めた周囲の冷気が皮膚をなで、半袖から伸びる両腕に鳥肌が立っている。

 どこへ向かっているかは分らない。右足を前へ出し、重心の移動とともに左腕を振り、残った左足でアスファルトを蹴る。

 ただ、何も考えずに歩いた。

 どこからか新聞配達のバイクの走行音が響いてくる。雀の鳴き声がコーラスする。ビルの谷間から朝日が溢れる。

 左足を前へ出し、重心の移動とともに右腕を振り、残った右足でアスファルトを蹴った。

 気づけば街は目を覚ましつつあった。一体、どこまで来たのか。一体、どこから来たのか。

 彼は歩いた。

 

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