R.G.B

@ebisan

プロローグ

 笑うことについて、AIは思いを巡らせていた。




 人間とのロボットバトル。


 その最後の対戦相手を、たった今倒してしまった。


 リングの外では、敗れた人間たちが絶望に打ちひしがれている。


 彼らが乗っていたロボットの残骸を眼下におさめていると、AIのなかに、不思議な感覚が沸いてきた。


 これは、彼らの悲しみの投影だろうか。


 それとも、戦闘AIである自分が、破壊に対して覚えた喜びなのだろうか。


 いや――悲しみと、喜びが混じったときに生まれてくるもの。この感情こそが笑いなのだ。


 その機能はなかったが、AIは、はじめて笑ってみようとした。


 しかし――。


「……あとはわいに任せとき。秘密兵器の出番やで」




 ――人間のなかから現れたのは、KANSAI語を話す、新たな挑戦者だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る