第10話 コタエアワセ
少し心を整理し始めた頃に先生に尋ねた。
「それではお腹の子もやはり.....」
先生と看護師は驚いた様な表情で慌てて顔を見合わせた。
「神山さん!!何故お子様の事を.....
奥様、お母さんからは結婚式のサプライズで報告してないとお聞きしておりますが....」
あれは確か....
「私はこの昏睡状態の間、長い夢を見ました
まだ妻の名前も知らない幼い頃、私の初恋の相手だった頃、
中学の時に転向してきた佐藤さんがともみだったって事、
初めて東京に出てきた頃から何年も宛名のないお手紙で支えてくれてた事、
先輩に付き合わされていった食事会でそんな私を全部知ってた事。
私が人生で幸せなポイントには必ず彼女が側にいてくれたって事。
幼い頃からずっと 運命的に互いに引き寄せられてきてた事。
なのに私は何も知らずに生きてきたんだ。
すると病室のドアをノックする音が聞こえた。
ゆっくりとドアが開くとそこには、小さな赤ん坊を抱いた、ともみのお母さんが泣きながら立っていた。
「悟君、本当に目覚めてくれてよかった。この子を抱いてあげてくれますか?
そしてこれは娘のともみからの最後のお手紙です。」
とろける様な天使の体を私はそっと抱き寄せた。
すると小さな掌で私の指を掴み、まだ目も開かない小さな天使は僕の顔をじーっと見つめ、一生懸命眠りについた。
翌日、お母さんから詳しく事の成り行きを聴いた。
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