第6話 理想と現実のギャップが、こんなにも楽しい
LARPの醍醐味のひとつに
『自分が思い描いたキャラクターを演じる面白さ』と
『自分が思い描いたキャラクターを再現する難しさ』のせめぎあいがあります。
LARPはキャラを自由に作りこめますので
キザ、ぶっきらぼう、ツンデレ、聖女……なんでも好きな設定を作れます。
ただ
『それを再現するのは自分の身体』。
自分の口でキザな台詞をいい
ぶっきらぼうな振る舞いをし
ぷいっと顔を背け
穏やかな表情で優しく語りかける。
……これが、やってみると意外と難しい。
私の例をあげれば
穏やかに、ゆっくり喋るキャラを演じているはずなのに
普段どおりの早口になったり
お馬鹿なキャラを演じているはずが
理路整然と話していたりしました。
脳内の行動と現実の行動がズレる。
これがもどかしい! そして楽しい!
なぜ、もどかしいのに楽しいかというと
『今まで気付かなかった自分に気付くから』。
自分で、自分自身に納得がいくんです。
「これが私の特徴なんだ」と、心で分かる。
他人やプログラムがはじき出した視点ではなく
自分で自分に気付くことに、妙な快感を覚えるのです。
LARP中に起きたできごとは、現実世界に直接は影響しません。
何度失敗しても、やり方を変えても、誰も怒らない、咎めない。
むしろ、その試行錯誤を全員が楽しむ場こそがLARPです。
好きなだけ
『なりたい自分になる』練習ができる。
キャラクターを演じるから
『あなたらしさ』にさえ、縛られなくていい。
そうして、『どんな行動をしてもOK』な環境で振舞うことで
理屈をこねまわして自己分析する以上に
納得のいく『自分』が見えてくるようになる。
この『自分自身に気付く効果』も、LARPのゆるぎない価値なのです。
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