杉三中編 捨て犬

増田朋美

第一章

捨て犬

第一章

蘭の家

蘭「今日は雨か。これでは買い物はいけないかな、、、。」

と、何気なく、テレビをつけてみる。

蘭「あれ、いつもやっているドラマがやってない。雨だから野球中継はしないはずなのに?」

アナウンサー「臨時ニュースです。今日、静岡県沼津市にある精神障碍者支援施設で、利用者3人を殺害したとして、男が逮捕されました。男はこの施設で長年働いていましたが、

勤務体制に不満があったようです、、、。」

蘭「あれ、この施設、見覚えがあるな、、、。」

画面に、精神障碍者支援センターはまぐりとある。

蘭「うちのアリスが、慰問演奏に行ったところじゃないか!」

と、そこへインターフォンが五回なる。

声「どこへ慰問演奏に行ったの?」

蘭「杉ちゃんだ、こんな雨の中、買い物に行くつもりなのか?」

蘭は急いでテレビを消す。

声「蘭、買い物行こう。油が切れたから買ってきたいの。」

蘭「切れたって、こんな雨の中?」

杉三はびしょ濡れになって部屋の中に入ってきた。

蘭「勝手に入ってこないでよ。また汚れるだろ。こんな雨の中でかけたら、風邪をひくよ。」

杉三「大丈夫。馬鹿は風邪をひかない。油が切れたらカレー作れないよ。会に行こう。」

蘭「そんな迷信信じるなよ、この雨の中行くの?」

杉三「タクシーとればそれでいいでしょ?それに、どこへ慰問演奏に行ったの?」

蘭「いや、それは気にしなくていい。」

杉三「それはいやだな。どこへ慰問演奏に行ったの?」

蘭「杉ちゃん、早く買い物行こう。」

杉三「どこへ慰問演奏に行ったの?」

蘭「そうか、、、あのね、はまぐりというところ。」

杉三「そこで何かあったの?」

蘭「それ聞いてどうするつもり?」

杉三「ただ聞きたいから。」

蘭「だったら知らなくてもいいんじゃない?」

杉三「だって聞きたいから。知りたいの。」

蘭「じゃあ、落ち着いて聞ける?なんか重大な事件があったらしい。」

杉三「重大な事件?」

蘭「そうだよ。職員が、利用者さんを虐殺したらしいんだ。それでみたいドラマも放送休止になってるんだよ。」

杉三「そ、それはひどいよ!抗議しなきゃ!」

蘭「ほら、杉ちゃんはテレビを見るとそうなるから、だからテレビの話ができないんだ。そんなことはできないよ。僕らはちっぽけな存在なんだから。」

杉三「華岡さんとかは?」

蘭「もうとっくに現場に行っているんじゃないか?警察とはそういうものだから。」

杉三「そうなってくれればいいな、、、。心配だ、、、。」

蘭「大丈夫だよ。パニックしないで買い物行こう。」

杉三「これ以上犠牲者が出ませんように!」

合掌し頭を下げる。

蘭「そうなることを祈りたいよ。はやくしないと、お昼になるよ。」

杉三「そうだね。」

蘭「じゃあ、タクシー呼ぶから。」

杉三「うん。」

蘭はスマートフォンを出し、ダイヤルする。


製鉄所。

机に向かって、記録を執筆する懍。掃除をしている水穂。

水穂「今日はばかに騒がしいですね。風でも吹いているのかな。」

懍「いや、違うと思います。すでに、ここにも来るでしょう。」

水穂「ここにも?」

と、インターフォンが鳴る。

声「ジャーナリストの者ですが、少し取材させてください。」

水穂「どうします?」

声「青柳さん、先日、沼津市であった大量殺人について、同業者としてどう思われますか?」

懍「放っておいてください。」

声「お宅も、精神障碍者を集めて、製鉄をさせているんですよね。しかも、江戸時代までさかのぼる、大昔のやり方で!」

声「精神障碍者を集めて事業をすることを、どう考えていられるのか教えてください。本当に福祉のつもりでやられているのか?それとも、単に、自己満足の裏側ですか?教えてくださいよ!」

声「青柳さん、近所の方に聞いたことありますけど、家で暴力をふるう若者を一千万で買い取ったことがあるそうですね。それは立派な人身売買になりますよね。それを隠しているのなら、重罪ですよ!そうやって、精神障害のある人間を買い取って、昔ながらの古臭いやり方で鉄を作らせ、更生させているのか、それとも追いつめているのでしょうか?お答えください!」

水穂「やれやれ、マスコミは、こうして悪い噂ばかりかぎ取るんですね。」

懍「まあ、放っておいてください。確かに一千万円を置いていった親もいましたけど、もらっても仕方ないので、海外に寄付してしまいました。マスコミを止めるのは、その報道が終わるのを待つしかないのですよ。」

水穂「抗議に行きましょうか?」

懍「おやめなさい。こういうときはだまっているのがいちばんです。障害がある人間は、こういう時には黙って耐えているしかできません。」

声「何か言ったらどうですか?それとも人身売買を認めるつもりですか?」

と、作業場から人が走ってくる音。

声「人身売買ではないですよ!俺たちは、捨て犬だから、教授に拾ってもらって、ありがたいと思っているんです。どうせ、沼津の施設は、きっと利用者をずさんに扱っていたからそんな事件が起きたんでしょうよ!でも、この製鉄所では、俺みたいな捨て犬であっても、みんな優しくしてくれるし、人として認めてくれるし、金がいくらあっても得られないものだって得られたと俺は思っています。これで答えになっていますかね!答えがわかったら、作業の邪魔になるから、さっさと帰れ!」

懍「ああ、川田さんだ。最も頭に血が上りやすい男ですよ。」

製鉄所の正門。カメラとメモ帳と、レコーダーを持った報道陣たちが、殺到している。先ほど川田と呼ばれた青年は、怒りを込めて、その中心に立っている。

記者「あなた、利用者さん?ここのシステムを教えてくれないかしら。あなたも、いくらで買ってもらったの?」

川田「うちの親は、俺をここへ預けるときかなりの額を渡したらしいが、教授は一部だけ使って、あとは全部海外に寄付したよ。だから、人身売買には当たらない!」

記者「でも受け取ったことは事実なの?」

川田「いや、俺は覚えているが、青柳教授は、決して受け取ろうとはしなかった。でも、おれを捨てたかったくそ親どもは、教授に金を無理やりわたし、俺をここへ置き去りにして帰っていった。ここにきている人は、男も女も、そういうやり方で、ここに来る人が多い!でも、一度製鉄をやると、俺たちはやっぱり生きていてよかったという気がするんだ!だからやたらに人身売買と言わせるのはやめてもらいたい!」

記者「大昔の製鉄では、普通の鉄工所の半分も生産が追い付かないのにやらされるの?」

川田「いや、何でも手作業でやるから面白いんだ。」

記者「機械も何も使わないで?」

川田「おう、鞴を動かすにも、男で五人は必要になるからな!」

記者「それでは、」

懍「川田さん、おやめなさい。」

懍がやってきたのにようやく気付いた川田。

川田「何でですか。正直に話しただけじゃないですか!ただでさえここは風評被害がすごいのに、隣町の残忍な事件と同じにされては困るのは教授でしょ?俺は手伝ってあげてるんです。」

懍「それは手伝いにはなりません。すぐに作業にお戻りなさい!」

記者「青柳さん、今の川田さんの話、録音させていただきました。きちんと記事にさせていただきますからね。確かにあなたは、問題のある子供さんを預かった際、契約金として、お金をもらったのですね。いくらくらいもらったのですか!」

村下「川田君、すぐに戻ってよ。君がいないおかげで砂鉄が十分に入らなくて、おかげで満足のいく鉄が作れなかったんだから。一人でも欠員が出たらたたら製鉄はつとまらないんだよ。」

懍「村下の指示に従いなさい。これは命令です。」

川田「そうはいったって俺は、この製鉄所がこうしてひどい目にあっているのが許せないから、何とか解消しようって思っているんですけど!」

村下「でも、川田君、やらなきゃいけないことを放置してはだめさ。戻ってきてよ。炉を壊すから、手伝って。」

川田「でも、」

懍「川田君!」

川田「わ、わかりました。あーあ、俺はやっぱり必要とされてない人間なんかなあ、、、。」

村下「だから、必要とされる部位がずれているんだよ、君は!さ、早く戻ろう。」

川田「はい、、、。」

と、半分べそをかきながら、村下と一緒に製鉄所に帰っていく。

記者「青柳さん、あの村下という男も、やっぱり同じやり方で、ここへ来たのですか?」

懍「ええ、川田の言ったことは不正解ではありません。しかし、こうして、傷ついた若者を集める場所は必ず必要です。あなた方は、悪いところばかり、ほじりだすことを得意としていますけど、それなら、彼らの社会に対する憎しみを記事にしていただきたいものですね。きっと、あなたたちに対する批判が飛び出してくると思いますよ。それがばれたら、どうなるか、あなたたちもわかっているでしょうね。先ほどの川田の態度から見てもわかる通り、彼らは、邪悪に対しては人一倍敏感ですから!あなたたちは、上の人に知られてしまえば何もできなくなるちっぽけな人間だ。それを、彼らは、突きつけることだってできるでしょう。それとも、あなたたちの上の人を呼び寄せて、彼にもう一度言わせましょうか?」

記者たちは黙りこくってしまい、すごすごと帰っていった。


応接室

水穂「すごいですね、教授。そうやって、やり込めちゃうなんて。」

懍「まあ、ああいう人が世界一怖いのは上の人ですからね。」

水穂は、少しばかりせき込む。

懍「ああ、もし疲れたらやすんできていいですよ。今日はずっと掃除をしていたから、つかれるでしょ。」

水穂「いえ、、、。かまいません。」

懍「水穂さん、誰でもそうだけど、無理はいけません。かえって良いところが消されてしまうこともある。」

水穂「わかりました、お言葉に甘えて。」


一方、製鉄上では、壊された炉から、鉄の塊を取り出す作業が行われている。

村下「今回の製鉄では、途中のトラブルもあって、十分に作ることができませんでした。それではいけない。今度の製鉄では、役割も考え直して、もっとよい鉄を作ることにしましょう。」

めそめそと泣き出す川田。

寮生「淳君、君が悪いわけじゃないんだよ。あんまり自分を責めるなよ。」

村下「そうですよ。今回は、配役をうまくできなかった、僕の責任でもあるわけですから、きちんと責任を取ります。」

川田「村下さん、そういうわけで俺が悪いんじゃないか!俺がもっと気を付けていれば、、、。なんで俺は、ほかの人みたいに、当たり前の感情を持てないんだ!あの時ものすごい怒りがでて、飛び出してしまったんだよ。でも、それでは、免罪符にはならないよな。俺、やっぱり捨て犬だ。」

村下「君はいつも、そうやって、ことあるごとに自分のことを捨て犬というが、それはやめたほうがいいよ。それ、自分で言い続けると、本当に捨て犬のような人生しかできなくなる。それではなく、失敗は失敗でもういいから、次にどうしたらよいのかを考えるといい。」

川田「だけど、俺、自分を殴りたくてたまらない。なあ、村下さんよ、俺を殴ってくれよ。」

寮生「川田さん何を言いだすの?こんなときめちゃくちゃなこと言って!」

川田「だってたまらないんだよ!」

寮生「でも、川田さんだけがつらいわけじゃないわ。」

川田「だって俺、やっと役に立てると思ったのに、何もできなかったわけで、おまけに悪い結果を出してしまったじゃないか!」

寮生「それは、川田さんだけじゃないわ、今回失敗したのは、村下さんも言っていたけど、みんなの責任なんだから、それで考えていきましょ。」

川田「でも、みんなを壊したのは、この俺だよ!」

村下「川田さん!そうやって自分を責めると、なにも無くなってしまいますよ!」

川田「それしかやったことがねえから、他にどうしたらいいんだよ!」

誰が何を言っても糠に釘。川田は、自分を責めることをやめない。

寮生「放っておきましょ。」

寮生「そうだね、そっとしておいたほうがいいな。」

村下「じゃあ、次の製鉄の打ち合わせをしようか。まず、参加できる人は、、、。」

何人かの寮生が手を挙げたが、川田は手を挙げなかった。

数日後。製鉄所の食堂。

寮生「川田さんどうしたのかな。」

寮生「食事にも出ていないよな。まあ、ここは出ても出なくても自由だけどさ、川田さん、それまでは、必ず食事には出ていたよね。」

寮生「呼んでこようか?」

寮生「よせよ。あんまりしつこいと、逆の効果になることもあるぞ。」

寮生「あら、私は、仲間に入れてあげたほうがいいと思うわ。そのほうが、彼にとって早く立ち直れるんじゃないかしら。」

寮生「でもさ、社会に出たら、失敗が許されないことだってあるし、、、。」

寮生「そうだなあ、それを川田さんが学ぶのであれば、、、。」

寮生「あんまり手を出さないほうがいいかも、、、。」

寮生「でも、かわいそうよ。」

寮生「女の子はそう思うかもしれないけど、男の子はそうはいかないよ。やっぱり。」

寮生「考えが厳しすぎない?」

寮生「うーん、、、。」

寮生「だったら、俺たちは鉄づくりに精を出したほうがいい。ただでさえ、隣で大事件が起きて、報道陣もすごいんだから。」

寮生「そうね、、、。」

水穂「相変わらずもめてますね。彼が、閉じこもってどのくらいになるだろう。」

懍「七日、ですね。おそらく水だけ飲んで過ごしているでしょうね。」

水穂「そうですね。僕、提案があるんですけど。」

懍「提案?」

水穂「ええ。彼が、もう一度立ち直ってもらうために。」

懍「聞きましょう。」


杉三の家。電話が鳴る。

美千恵「はい、影山です。ああ、青柳教授?杉三ですか?いますけど、今、和裁教室にいってます。もしよろしければ伝言しますのけど、ええ、ああ、空き部屋ですか、そこを貸してほしいって?いいですよ。かなりほこりがたまっていると思いますので今から掃除しなくっちゃ。」

懍「ええ、すみません。うちの寮生をこういう形で出してしまうのは、今までに例がなかったことですので。でも、いつまでも同じところにいても、らちがあきませんのでね、それを破るにはあえて外へ出してもいいのではないのかと。彼は、非常に責任感があり、それを使いたいと思っているのですが、それを出すのに少しばかりずれがあるのです。ですから、もう一度、彼が世の中から必要とされると思わなければ、立ち直ることはできますまい。お願いしてもよろしいですか?」

美千恵「わかりました。じゃあ、うちで預かりましょう。いつ来るんですか?うちはいつでもかまいませんよ。今日でも明日でも。ああ、分かりました、明日ね。じゃあ、よろしくお願いします。」

と、電話を切る。

美千恵「久しぶりにうちで滞在か。さ、掃除しなくちゃ。」

と、掃除機を出してくる。


翌日。スポーツバックに身の回りの物を入れた川田は、迎えに来てくれたタクシーに一人で乗り込む。

川田「本当に行っていいのですか?」

運転手「ええ、杉ちゃん、いや、杉三さんは、預かりの名人ですからな。きっと楽しい生活を送れますよ。彼の家で預かれると、みんないい顔して戻ってくるもの。捨てられたとか思わないでね、ゆっくり過ごしてきてください。」

川田「わかりました、、、。」

まだ不安はとれない。無理やり笑顔を作って、製鉄所を離れる。


一方。応接室。

懍「ははあ、なるほど、つまり、うちで預かってほしいと?」

母親「ええ。もう、このような状態では、とても、、、。」

と、涙をこぼして泣きはらす。

懍「で、娘さんのほうは、どんな日常生活を送っているのですか?」

母親「ええ、もう、赤ちゃんに戻ってしまったようで、、、。言葉も子供っぽいですし、時には失禁することだってあるんです。もう、世間体もそうだし、何よりも私がつらくてたまらない。だから、ここでしばらく頭を冷やさせてください。」

懍「いつからそのようなことをするように?」

母親「あの事件からです。あの事件の主宰者と同じ姓でしたから。この名を聞けばわかるでしょう?」

懍「あの事件?なるほど、あの宗教テロですか。」

母親「そうですそうです!だから先生、ここで預かっていただけないでしょうか?」

懍「もう、あの事件からは二十年以上たってますよ。」

母親「でも、この子の中では止まったままなんです!あの事件があって、学校でいじめられた時の光景からずっと離れようとしない!いろんな人に見てもらいましたけど、結局ダメでしたわ。もう、私も限界です!預かってください!」

懍「まあ確かに、心の傷は立ち直るのが難しいとは確かですね。」

懍は困った顔で、その女性を見る。体は大きいのだが、表情もなく、ぼんやりとしている。

懍「どうします?泊まってみますか?」

女性「なんでえ?」

母親「そうやって、子供みたいな言葉を使うのはやめなさい!」

女性「お母さんがぶったあ、お母さんがぶった!」

母親「見てください、こういう言い回ししかできなくなってしまったのです。どうか、預かってくれませんか、うちでこのようなことをされたら本当に困りますもの!」

懍「いや、無理ですね。ここまで退行がひどい方は、もう少し専門的なところに行ったほうが、いいと思いますよ。精神科なんかと連携をとったほうが良いのではないですか?」

母親「いいえ、無理です!そんなところへ娘を連れて行ったら、私たちが壊れます!」

懍「金銭的にですか?」

母親「お願いです、このお金、差し上げますから、預かってください!」

と、ある小切手を手渡す。

懍「結構です!僕たちは、人身売買をするようなところではありません!こんな大金もらっても、何もなりませんよ。それよりも、お母さんなんだから、彼女から逃げず、きちんと向き合ってはいかがですか?」

母親「あなたは、分かっていないんですわ。歩けない方だから、私たちがどれだけ悲しいのか、考えたこともないでしょう。あなたみたいに、誰かの世話を受けなければ生活できないのではなく、私たちは、仕事もあり、つきあいもあるのです。あなたたちができないことは私たちは、できて当たり前、できなきゃいけないんです!そのために、どれだけ苦労しているのか、あなたは知らないからそうやって人の苦労がわからないんですわ!だから、慈善事業など、できるはずはないんですよ!」

懍「そうですか。それならそうしましょう。しかし、この小切手は必要ありませんので、持って帰ってください!」

母親「またきれいごとを言って!あなたたちは、このお金で生活しているのではありませんの?」

懍「じゃあ、一部だけもらっておきます。言っておきますが、ここは人身売買ではないし、終の住処でもないし、ごみ箱でもございません。それを忘れないように。ではどうぞおかえりください。」

母親は、晴れやかな笑顔になり軽やかに帰っていく。

後に、人形のような服を着た女性が残る。

水穂「大丈夫ですかね。」

懍「それを言っている場合ではないでしょう。彼女が、どうしたらもとに戻れるかを考えましょう。」

水穂「そうですね。」

と、大きなため息をつく。女性は、水穂を見て、幼時のようににんまりと笑う。

懍「また、新しい展開になるのかな。」

水穂「そうですね。」







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