10W    王様ゲームをするのだ!


「王様、はい?そうですか?えっ!……王様ゲーム?!」


 側近が王様のボソっとささやく言葉を、一言一言丁寧に拾いながら、俺たちに投げかけた。さらに、次の瞬間、俺たちは耳を疑う言葉を側近から聴かされた。


「王様は、貴方あなたたちに王様ゲームを提案しております。ゲームに参加しなくてもよいのですが、貴方たちが気に入ったので、我が国の王座をかけて全力で挑みたいと仰っております。我が王に勝てばこの国の王座と、貴方たちの希望の物をなんでも差し上げると」


「ね゛ね゛ーーッ!!おそそそそそそそそそ……れおおおおおおおおおお……いいぃぃぃ!」


「その話!俺は受け入れさせてもらいます!!」


 ハートは王様と側近の言葉を、緊張のあまり白目気味で否定したが、俺はこの提案があった瞬間に怯まずに即答した。

 

 俺は、街の電気屋さんから、異世界に飛ばされ、ハートに管理され、入国管理ギルドに所属という身になった。が、まだ内心は、親父の背中を追いかけて街の電気屋さんに戻りたい希望がどこかにある。

 さらに電気工事で感電死という、大惨事ファースト・インパクトを起こした佐々木さん家のエアコン工事にも未練がある。異世界に飛ばされ、見知らぬ天井を見てしまって、幻滅した俺に「王様が希望の物を与える=元の世界に帰してもらえる」という図式が頭に浮かんだ。即答で王様ゲームを受け入れたのだ。


 だが……俺は、王様が王様ゲームを提案するとはベタな気がした。本来、王様ゲームとは、参加者の人数分にクジを用意してあり、王様が2人を指名して指名された2人が罰ゲームを受けるゲームだ。


「王様、はい?そうですか?えっ!……普通じゃ面白くないので『参加者全員』にもれなく罰ゲームの外れクジを用意してある?覚悟しなさいと」


 側近が言い放った瞬間、俺は耳を疑った。この国の王様は俺の想像していた、王様ゲームと違うルールで挑戦チャレンジしてきたのだ。これは、はじめから参加者全員、罰ゲーム確定。王様ゲーム=王様が自ら楽しむゲーム。フェアーじゃない。つまり、アンフェアーな展開になってしまった。俺としたことが!


「なぜ……王様の王様ゲームを受け入れたの!王様のゲームに挑んで、まともに生還した者はいないって聞いていたのに!あんたバカァ!!」


 ハートは俺に対して、震えながら言い寄ってきた。どうやら王様の性格を知っているらしい。入国管理ギルドハート所属の頂上でもある王様。俺は浮かれていたせいで、後には戻れない失態を犯してしまった。


「王様?はい、なお、この件は王国中に知れ渡ると、王位が揺らぐのでご内密にお願いしたい」


 側近の言葉と、王様の怪しい笑顔で、俺たちは凍り付いた。

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