4W     ここは異世界!なぜ服を脱ぐ?!


「はいはい! 騒いでも無駄ですよ、襲雷人シュライトはすぐに騒ぐんだから」


 入国管理ギルド魔法使いのシ・アタック・ハートは、厳しい表情から一転した顔つきと言葉で俺に話す。ここで俺が出来る選択肢は……相手が言う、抹殺されるor強制奴隷、意外にないのか? 俺はこの部屋と相手の状況を観察する。プロのでんきやさんも、訪問先の工事をする前にまず、現場をどういう風に仕上げるのかを頭で思い浮かべて観察するように……。


 じっと相手と部屋を観察していると、魔法使いのハートは何かを思ったのか俺の方を見ている。こう話した。


「あっ? もしかして……?? 就労ビザで来たのですか? それならば話は別です、ここで服を脱いでください」


 えっ? 俺はいきなり服を脱げと言われて、唖然とした。なぜなんだ? ん? ちょっと待て、……冷静になれ俺。or、以外の新しい選択で、、が出来たじゃないか。


 相手はこの部屋からひとまず離れるようだ、しかし戸が閉まる音の次に大きい音がした。鍵なのか? 分からないが、部屋には俺一人だけになった。ここはどこだか分からないし、鍵が掛かったらしいし、逃げるという選択肢はないみたいだ。と言っても、なぜ脱がなければならないんだ? 脱ぐと言っても、の二種類があるじゃないか! 俺はどっちを選択すればいいんだ? まぁ、言われるとおり取りあえず脱いでから決めよう。


 結果、俺は……、することにした。この選択は正しいのか、あっているのかは分からないが……。俺は、相手が何を望んでいるのかが分からない状況ながら、冷静に全裸で待機をしていた。すぐ、扉の奥から魔法使いの声が聞こえる。この部屋に入って来るみたいだ。そして扉が開く。


「きゃーーーーっっ! 誰が全裸になってと言ったんですか!! 腕の刻印の確認をしたいだけなので、下はすぐに着てください!!!」


 結果、俺は選択を間違ったみたいだ。全裸×ではなく、半裸○が正解だったのだ。

 魔法使いは全裸の俺を、注意し怒りながら両手で顔と目を隠しているみたいだが、なぜか中指と薬指の間を開けて、さりげなく俺を見ていたのは印象的だった。顔を赤らめながら、そそくさと部屋を出て行った。どうやら次は、半裸で待機をしなければならないらしい……。


 半裸状態で待機していると、魔法使いが扉の隙間からこちらの様子をうかがっていた。俺の腕のを見ながら、部屋に入ってきた。魔法使いハートは入国管理ギルドのルールを俺に説明しながら話しだした。


「あなたの腕には、ビザの刻印がありま……すね」


 魔法使いハートは両腕を見つめ確認していた。俺は気づかなかったが、腕に刻印がある。この異世界に来たときに刻印されたのか分からないが、タトゥーのような奇妙な紋様のコレが相手の言う入国ビザらしい……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る