2W エアコン工事で大惨事
今日は、佐々木さん家に工事の予定が入っている。現場は電気工事とエアコンの設置だ。工事内容は佐々木さん家のリビングに、旧型のエネルギー効率の悪い100Vエアコンから、新型でパワーがあり効率の良い200Vのエアコンに置き換えると言う工事内容だ。
しかしまだ俺は実家の街の電気屋さんに入社したばかりで、正社員ながら親父の見習いで手伝いだ。本来なら電気工事士国家資格の実技と筆記を受けて合格し、電気工事士資格を取得しなければ工事が出来ないのだが、入社した時期と試験の日程が離れているのですぐには資格が取れない。
俺の現状は、いわゆるもぐりの電気工事士だ。
現場に街の電気屋さんの古い商用トラックで到着すると、親父は
現場での仕事は久しぶりだ。高校の夏休みはアルバイトとして親父と現場に向かい、毎日手伝いをしていた。親父が見守る中、電気工事の実技は積み重ねてきた。作業は息を合わせることが肝心だ、一人だと全部の手順を終えないといけないが、親父と二人だと手順が半分ですむ作業もある。その時にかけ声などで息を合わせると、作業が早くなり、なおかつ丁寧に施工できる。
親父が戻り、さっそく仕事が始まる。佐々木さん家の電気配線を、100Vから200Vに切り替える電気工事作業の最中だった。
「バチン!!」
作業中になぜかブレーカーのスイッチが入り、VVFケーブル(※1)に交流200V《ボルト》の電気が通電する! 指先から直に食らった!!
感電したショックで、俺は一瞬に意識を失った……。
俺は状況が把握できていなかった。社員になった(見習いだけど)初日に、感電死したのか? もし、死ぬ前の、走馬燈というやつがあれば……。俺は、実家の、街の電気屋さん・電気の知識・電化製品・回路図を書いたこと・電機部品のこと・工事作業手順のこと……。電気のことしか頭に流れなかった。俺の走馬燈って何?
走馬燈が消え、電気ショックのせいか体がしびれた目覚め状態だった。すぐには立ち上がれない。ここは病院なのか? 俺は生きているのか?
「この人が新入り? 大丈夫?」
俺の側で声が聞こえる。
目の前では、可愛い少し小柄な少女が西洋の民族衣装? いや、ファンタジーゲームの魔法使いのような格好で杖を持っていた。俺のほうに、心配そうな表情で声をかけている。しびれた体が、少しずつ感覚を取り戻すのを感じられる。だんだん視界が良くなってきている。どうやらベッドで少し俺は眠っていたみたいだ。
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