テレポートした先は戦国時代だった件について
ユウやん
第1話 テレポートの先は…
「ヒール!」
「助かったミネル!」
「レイビィ、支援魔法を!」
「分かった!グラビティ!!」
「そんな攻撃効かぬわ!!」
「なら、俺の拳はどうだ!!」
「グハッ!」
長い冒険の旅の終着点の魔王城にて、勇者と魔王の最終決戦が今まさに行われていた。
「ケイト!」
「分かってる!魔王ガーネル、これで終わりだ!」
勇者ケイトが仲間の合図に応じ、神の加護を受けた聖剣で魔王に切りかかる。
「小癪な!」
魔王も負けじと詠唱無しの結界を幾重にも展開し己の身を守る。
「届けえええぇぇぇぇぇええ!!!」
1枚、また1枚と結界は壊れていく。
「何故!人間風情のお主らに何故そこ迄の力が有るのだ!!」
「わからねぇなら教えてやるよ魔王。大切な仲間を、大切な人達を、大切な世界を守る為になら身体の奥底から力が湧いて出てくるんだよ!!」
「その程度の事でこのわたしが負けるのか!?」
そして遂に最後の1枚が音を立てて崩れ去る。
聖剣が魔王の身体を切り裂く。
「ぐっ……」
「魔王、これで終わりだ。」
そう呟くとケイトは聖剣を魔王の心臓に突き立てた。
最後の一撃を食らい魔王は灰になり消えていった。
「勝ったのね……」
「遂に俺たちはやったのだな。」
「あぁ、終わった。長かった旅も終わりだ。」
「そうだね……」
ボロボロに成りながらも遂に魔王を倒した安心からか誰も動けずにその場に倒れ込んだ。
暫くして勇者ケイトは立ち上がりながら仲間の顔をゆっくりと見る。
格闘家で義理堅い熱い男ガジット。
僧侶で人1倍ココロ優しいミネル。
魔法使いでお茶目なレイビィ。
ケイトはこの仲間が居たからこそ最後の最後まで頑張って来れたと思い返す。
「……さて、魔王を倒したし帰りますか俺達の故郷に!」
「そうだな。」
「えぇ。」
「帰って美味しいご飯食べたいわ。」
皆も立ち上がり帰るかと口にする。
「それじゃ王都セルリアに飛ぶね。テレポート!」
王都に着いたらきっと盛大に歓迎されるはず。
豪華な食事や疲れを癒す為のふかふかのベット、汚れを落す為のお風呂が待っている。
そうなるはず。
はずだった………
「なのに此処は何処だよーーー!!!」
勇者一行は現在、合戦ど真ん中で侍に追われていた。
「どうしてこうなった……」
暫くして侍から逃げ切ったケイト一行は見知らぬ土地の草原の片隅で話し合いをしていた。
「レイビィ、
「いくらドジの私でも行き慣れた土地の転移を失敗する程落ちぶれてはいないわ。」
「だよな……」
「さっき追いかけてきた奴、あいつの装備はなんだ?見たこともねぇ装備だったぞ。」
「知らない土地、知らない人々、知らない戦場、どうなってやがる。」
「考えられるのは魔王ガーネルの妨害魔法が死んだ後も残っていた。それを知らずにテレポートを使い知らない所に飛ばされた。」
「ケイト、これからどうするよ。」
「レイビィ、次のテレポート使用可能までどれぐらいかかる?」
「本来ならクールダウンの時間だけで使えるから1分もいらないわ。けど、此処は魔力が少ないのか全然使える様に成る気がしないのよ。」
「参ったな……」
「取り敢えず誰かにここの事を聞いてみようぜ。何か分かるかもせれねぇし。」
「そうだね。レイビィは魔力の吸収を継続。ミネルとガジットは後方で瞬時に対応出来るように。僕は先頭を歩くよ。」
「分かったわ。」
「任せておけ。」
「うん、頑張る。」
それぞれがケイトの指示に頷いて承諾する。
陣を形成しケイト達は荒野の中に見えた一つの旗に向かって歩くことにしたのだった。
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