握手はいつも
悠磨
第1話 春の通学
廊下を小走りで通りすぎる。廊下は走ってはいけない。
でも彼女なら許す。
そんな彼女の姿を目で追った僕がいる。高校に入り2度目の春。
あぁ、先生に注意されてる。
「すみません」と愛嬌のある顔で切り抜ける様子、計算なのか天才なのか。
1年は同じクラスだった、2年になりクラスが別々になった今は挨拶を交わす程度の普通の同級生だ。
通学時に電車で彼女を見かけることがある。同じ路線のようで僕の1つ前の駅で降りていく。友達にバイバイと言いながら電車を降りていく。
動き出す電車の中の僕を見つけ彼女は手を振る。バイバイと言っているような、僕てき読唇術ではそう言っている。
演歌歌手の歌終わりの声を出さずに「ありがとうございました」と言うような口パクか音に出しているのかは電車の音と窓越しには分からない。
手の振りは内側より外側への方が振り幅が大きいのが彼女の特徴だ。僕は手を振り返す。
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