クロノワール・シャンゼリゼ~美しき神秘の世界~

干ししいたけ

マスターシーン:親愛なる我が友へ

 ————世界は神秘で満ちている。

 どこかの誰かが言った言葉だが、私—————こと、“蓮花”はこの言葉が大好きだ。何故なら、昔々、救世  ※1が生まれる前より生きている私にとって、未だに知りえない経験が豊富にあることを実感できるからである。この体—————20代半ばで止まってしまった成長。古代種という奇妙なレネゲイドウイル  ※2に感染してから容姿は変わらない。毎日鏡を見ても、黒くつややかで長い髪、幼さをわずかに残した顔立ち、深藍色のこの瞳でさえ、この数千年間、変わることもない。では、どのようにすれば変化するのだろうか。


暴飲暴食を繰り返せば太る?

 

答えはNOだ。キュマイラシンドロー  ※3を持つ私にとって、体型は維持され続けるため、皮肉にも変化ない。もちろん、体の傷はリザレクトで癒えていくので、自傷も意味はない。「いっそ死んでみたい」なんて思ったことはないが、長い時間を過ごしていると、デジャブのようなものを幾度となく目にする。同じ景色、同じ風景……でも、厭きることはない。この時代が嫌なら、バロールシンドロー  ※3を応用して体内固有時間を制御し、しばらく眠り続ければいい。—————もっとも、前述のとおり、神秘で満ちている世界に厭きることない私にとって、そんな話は無縁なのだが……。

 何れにしても、マイペースな私がやることはいつも気まぐれだし、変わらない日々と自分が何時までも続いていく。


そんな私が大きく変わった出来事がある。もちろん、容姿ではなく精神的なことだが……。

日本へ旅立つ前—————獣が目覚めてしまう前に、この物語を書き綴ろう。

 もし、これを読んでいるキミが何かを感じ取ってくれるならば、獣を止めてほしい。


 私の“願い”を込めて、世界の未来を託す。どうか、この神秘の世界を護ってくれ。


親愛なる我が友—(インクが滲んで読めない)



※1 救世主……イエス・キリストのこと 

※2 レネゲイドウイルス……本ステージにおいて未発見だが、理解しやすくするためにこの言葉を使用

※3 ~シンドローム……※2と同理由


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