第93話 ■林太郎に会えるかな?
■林太郎に会えるかな?
「それじゃ、千織ちゃん。 もしもう一度、林太郎くんと会えたら、成仏できるわね?」
「うん。 約束するよ。 千織、林太郎くんに会えるの?」
「そうね。 そこのお兄さんとお姉さんが林太郎くんに会わせてくれるはずよ!」
陽子は、横目でミキと鋭ニを見つめながら、自信満々の笑みを浮かべ答えたのであった。
「ほえっ? あたし達が?」
ミキは間の抜けた顔をして、自分の顔を指差した。
σ(゜・゜*)
「陽子さん、いったいなぜ僕たちが林太郎くんに合わせられると思うのですか?」
鋭ニは、陽子の自信満々の顔が気になって訊ねた。
「それは、わたしが予知したからですよ」
「えっ、陽子さんは、超能力者ってこと?」
ミキの頭の周りに、クエスチョンマークが幾つも回り始めた。
?
? ?
? ゜・゜ ?
? ?
?
「それはSFの世界。 霊媒師は昔から霊視による予知を行ってきました。 わたしには、お二人が林太郎くんの一件を解決する姿が見えています」
「だったら、どうすればいいか教えてください。 もう、わかっているって事でしょう」
ミキが陽子に詰め寄る。
「わたしの霊視は、物事がはっきりとわかるレベルでは、ありません。 霊媒師の中には、現実と全く同じように予知できる人もいるようですけど」
「な~んだ。 それじゃ本当かどうかなんて、わからないってことじゃん。 あたし達は千織や林太郎くんの接点なんて、何一つないんだから無理、無理!」
「でもミキさん。 この件を解決して、早く千織ちゃんを成仏させてあげないとお屋敷が壊されてしまうでしょう」
「でも~。 それもあたし達の所為じゃないよねぇ・・」
ミキは鋭ニの方を見て同意を求める。
「それに、あのお屋敷が壊れてしまえば、千織だって結果として成仏するんじゃないの?」
「いいえ。 地縛霊が、その呪縛から解き放された場合は・・・」
「その場合は?・・・」
ゴクッ
ミキは嫌な予感がして、生唾を飲み込んだ。
「その場合、千織ちゃんは自分が消えてしまうと思い込んでいるようですけど、お屋敷が壊れれば千織ちゃんは free activities ですわ」
「自由行動・・・」
鋭ニが呟く。
「自由行動・・・ (゜ρ゜)アウゥ」
「そうです。 ミキさんは毎日、水車拷問確実ですね。 しかも、お屋敷まで壊されたら・・・」
ひぃーーー
ミキは思わず鋭ニに抱きつく。
その鋭ニも、ギロチンの恐怖に脇の下から冷や汗が流れる。
「でも、陽子さん。 林太郎くんは、果たして生きているのでしょうか?」
「林太郎くんは、もう30年前に亡くなっていますね。 今の段階ではそれだけは、わたしにも感じられます」
「そ、それじゃ。 それこそ絶対無理じゃない!」
「水車・・・」
陽子がぼそっと呟く。
「な、何とかします! ハイッ 絶対に!」
***
**
*
「何とかするって言ってもなぁ・・・」
「あたし達、林太郎くんの事は何にも知らないんだよ!」
「そうだね。 だったら、まずは手がかりから調べる必要があるね」
「手ががり?」
「そう。 もしかしたら奥山が何か知っているかもしれない」
「奥山さんって、あの企画専門部長の?」
「そう。 よく覚えていたね」
「うん。 あたしの親戚にも奥山っておじさんがいるんだ。 だから何となく記憶に残ってたの」
「彼は、あの屋敷の後地にできるゴルフ場建設のプロジェクトに関係する仕事をしていたはずなんだ」
「だったら、千織になにか何か関係するすることも、わかるかも知れないね!」
「よしっ 膳は急げだ! 早速、奥山に電話だっ!」
鋭ニは、携帯電話を取り出し、電話帳から奥山の電話番号を選択し発信ボタンを押した。
ピッ
次回、「ロボット林太郎」へ続く
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