第6話 ◆みどりさんとお風呂♪
◆みどりさんとお風呂♪
新しい学校での最初の女友達はみどりさん。 実はオレが通う事になった学校の理事長の一人娘だった。 そして今日は放課後、みどりさんの家に遊びに来ている。
「ねぇ、ミキ。 うちのお風呂って凄いのよ」
「はぁ・・」
突然なにを?
「ローマ風呂って知ってる? 温水プールもあるし。 今日さ、うちに泊まっていきなよ!」
「えぇっ!!」
いきなり女の子の家に泊まりかい! 思わず心の中で自分自身に突っ込みを入れる。
「やだ。 そんなに驚かなくってもいいじゃない。 リゾートにでも遊びに来たと思えばいいのよ。 どうせうちは、わたし以外だれもいないし」
いやいや、使用人は山ほどいたじゃないか・・・
「で・・でも悪いし。 それにわたしも、家に帰らないと。 ほらっ、母も心配するし、明日の学校の仕度とか着替えとか」
オレはこの事態を回避しようと必死になる。
「あら? 家ならこれから電話すればいいじゃない。 やっぱりミキは、本当はわたしのこと嫌いなのね」
みどりさんの目にみるみる涙が溜まっていく。
「あぁ、違うって! そんな・・ みどりのこと嫌いじゃないってばっ! わかったって。 もう・・ 泊まっていくから泣かないで」
あぁ、もしかしたら、これはとんでもない娘に捕まってしまったかも・・・。
「ほんとう? 嬉しい」
みどりさんが下を向いた時、ぺろりと舌を出したのには、流石のオレも気が付かなかった。
「それじゃ、早速電話しておいたら。 ハイ、電話」
まったく、この娘のペースには参ってしまう。
それに最初の印象と随分違うよな。
みどりさんから差し出されたコードレス・フォンを手にとって自分の家の電話番号を押す。
呼び出し音が2回鳴るや否や、すぐに母さんがでる。
「もしもし・・山口です」
「あ、母さんオレ。 じゃなかった。 わたし。 そう、ミキ。 今日ね、友達の家に泊まることになったから。 うん。 うん。 そう。 大丈夫、女の子の家だから。 えっ? うん。 理事長さんの娘さんなの。 うん。 平気。 大丈夫。 じゃ」
ピッ
「大丈夫? 怒られなかった?」
「うん。 迷惑かけないようにだって」
「それじゃ、食事の前にお風呂でも入ろっか」
えっ? い、いきなりお風呂ですか?
「さっ、こっちよ。 早く!!」
みどりさんは、オレの手を引いて、どんどん歩きはじめる。
「えっ、ちょ、ちょっと」
相変わらずのマイペースな娘だな。
みどりさんが自慢するだけのことはあって、大理石で出来たお風呂は、そこらの温泉ホテルの大浴場なぞ比べ物にならないくらい豪華で広いものだった。
「さっ、入ろ!」
そう言うと凄いスピードで服を脱ぐ。 見事な脱ぎっぷり?である。
「ねぇ、ミキも早く脱ぎなよ」
あぁ、この時ばかりは、今オ○ン○ンが付いて無くってよかったと思う。
だってあそこが○×&#$!状態になったら大変だもんな。
「ねぇ、みどり。 みどりは、このお風呂にいつも一人で入ってるの?」
「うん。 そうよ」
オレは、このお嬢様の寂しいワケが少しだけ、わかったような気がした。
「ヤッホーー!!」
ジャブーーン
前言撤回。 思いっきり元気じゃん!
「ミキーーー 早くおいでよーーー!!」
しかし、このお風呂はけっこう深いんだな。 これなら飛び込んでも大丈夫じゃん。
「よーし。 ヤッホーーー」
オレも大声で叫びながら、思いっきりジャンプ。
ドッ、ブ~ン
「アハハ」
「ウフフ。 超楽しいーーー! ねぇ、向こうの端まで競争よ!」
「よーし。 負けないぞー!」
自家用のお風呂で競泳ができるのも、きっと日本では数少ないんだろうな。
ザバザバッ
バシャッ
「タ~ッチ。 ハァハァ、わたしの勝ちね!」
「くそ~っ! みどりがフライングしたからじゃない!」
「チッチッチ。 何度やってもわたしの勝ちだと思うよ」
「どうして?」
「ふふふっ。だって、わたし中3女子のクロール記録保持者だもの」
「ふ~んっだ。 そんなのやってみなくっちゃわからないじゃん!」
オレは結構負けず嫌いなんだ。
「よ~し。そんなに言うなら、あっちの25mプールで勝負する?」
みどりさんは、自身満々の笑顔でオレを挑発する。
「OK。 OK。 受けて立ちましょう」
オレだって泳ぎにゃ少々自信があるんだゾ!
温水プールとお風呂は隣合わせになっていて、プールからはお風呂が見えないがお風呂からプールは見えるようになっている。
しかし凄い設備である。 この無駄な広さがセレブの証なのか?
さて、プールといっても、自家用なので隣のお風呂から来た二人は当然全裸のままだ。
「ミキは2コース。 わたしは4コースを使って勝負よ。 イイ?」
「OK。 今度は絶対負けないよ!」
「位置について、よ~い。 ドン」
ザッブーン
スタートは互角か?
でも流石に手の掻き方がスムーズだな。 くそっ、女に負けてたまるか。
15mまでは、ほぼ同じくらいだったと思う。
20mのブイが見えたところで・・・
ガバガバ。 ゴボゴボ・・・
オレは不覚にも温泉で、のぼせてしまったらしい。
それから意識が遠くなっていった。
・・・・
・・・
・・
・
「ねぇ、ミキ。 大丈夫?」
「うっ、うん・・・」
目の前に心配そうな、みどりさんの顔が見える。
「あっ、良かった気が付いた」
「オレ? どうしたんだ」
「オレって・・・ミキ? 頭大丈夫?」
「あっ、わたし。 どうしたのかな?」
「温泉で湯中りしたみたい。 ごめんね。 無茶させて」
「そうか。 湯中り・・・」
「わたしは、いつもの事だから慣れてて平気だったんだけど・・・」
「みどり、勝負はまた今度だね」
「うふっ、そうね」
「それにしても、ここは?」
オレはみどりさんの顔越しに見える天井に気が付いた。
「あぁ、ここ? わたしの部屋のベットの上よ」
「えっ?」
あれっ? オレ服着てない? って、みどりさんも?
カァーーー
「あの、その。 ちょっと。 わたし服着てないみたいだけど・・・」
「あっ、そっか。 そのままタオル巻いて運んでもらったし。 それにわたしは、寝る時って服着ないんだ」
「えーっ。 わたしは着るよ~」
「大丈夫。 具合が良くなったらダイニングでお食事だから。 その時に着替えればいいでしょ」
「う゛ーー」
そう言う問題ではないんじゃないか。
その後、豪華なディナーをいただき、みどりさんのベットで二人で寝たんだけど。 みどりさんは全裸で寝相も結構わるく、オレに抱きついたりで、結局一睡もできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます