第04.5章 悪霊さんいらっしゃい2回目

「悪霊さんいらっしゃいのコーナーデスデス。今回はセットも用意してみましたデスデス」


 マイナマイナの右手には黒い人魂が握られていた。そしてそう言った後、花で飾られているテーブルと、その周りに一人掛けソファが3つ置かれている不思議な空間に、壱人とイッQを移動させる。

 さらにおもむろにカメラ目線でこう言った。


「ちなみに本編とは関係の無い内容の為、読まなくても支障ありませんデスデス」


「自分で言っちゃったよ!」


 反射的にイッQはツッコんでしまう。しかし壱人はマイナマイナに問い掛ける。


「でも、それだとこのコーナーの意味が本当に無いのでは?」


 この質問にマイナマイナは遠い目をして答えた。


「魂を救うのに理由など要らないのデスデス」


「今のセリフ、とても天使っぽかったぞ!」


「そうか、マイナマイナさんが天使なのを忘れられないようにする為のコーナーなんだ」


 合点がいった二人は、結局このコーナーに付き合う事にした。


「では今週の悪霊さんデスデス」


 黒い人魂を光のサークルに入れ、以下省略。

 少し横幅のある体型で、柄の入ったTシャツに麻のジャケット、ジーンズを穿いた悪霊が現れた。マイナマイナがソファに案内する。壱人とイッQも対面のソファに一人ずつ座った。

 壱人が「この後どうしよう」と思っていると、ヒヨコのような何かであるピヤ号を膝に乗せたマイナマイナからカンペが出た。仕方無くその通りに読み上げる。


「今回のお題は企画書です。あなたにとって良い企画書とはなんですか?」


 悪霊は少し考えた後に話し出した。


「そうですね。完璧な企画書なんてありません。実作業で内容なんて変わっていきますから。

 だから細部よりも、企画書を見た人間が“これをやりたい”と思わせるパワーや魅力が大事です。

 見ただけでやる気を無くさせるような企画書はダメだと思います」


 今までと違い普通に話してくれる事に、壱人とイッQは驚いた。これならもっと話を聞いてみたい。その時マイナマイナから次のカンペが出た。


『悪霊さんの話を聞いて、心のモヤモヤを解消することで天国への近道になります』


 それを見て二人共「自分でやって下さい」と思ったが、思っただけにした。


「ええと、企画書で苦労したことはありますか?」


 壱人が質問をして様子を見る。


「そういえばあの時は**苦労****」


 再び話し始めた悪霊の内容は、少し怪しくなっていた。


「あ**完成**に**誌**の****で『今回の目玉***は****です』と言って**ど****企画書では**の**の字すら無かった** だ** が!

****が弱い**急**追加した**を**堂々と**だなんて言えるな!

**も全部こっちで考****お前**何も**いだ****!!」


 いつものように支離滅裂になってきたのでマイナマイナに助けを求めると、膝のピヤ号をそっと降ろして立ち上がった。


「かなりモヤモヤが解消されましたデスデス。では最後の仕上げをしましょうデスデス」


 そう言ってマイナマイナは浄化の儀式をして霊を天国へ送った。


「お疲れさまでしたデスデス」


マイナマイナは、壱人とイッQを元の部屋に戻すと、労いの言葉を掛け、続けてこんな事を話してくれた。


「実は魂が天国に行く時に、余っている魂エナをイッQさんに補給しているのデスデス」


「え、そうなんですか?」


「まあ、後付けの設定デスデスが」


「それ言わなくていいやつです」


 そんな訳で「悪霊さんいらっしゃいのコーナー」が、イッQの魂エナにも関係している為にこれからも続く事になった。

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