電子の国のアリス

黒庭紫姫

【読切】それはアリスの世界とは離れたものだった

私はなんで、こんなことをしているのだろう。いつもなら絵を書いてるか、ゲームをしているか、チャットしているところなのに…。


私は今、大量のウィルス相手に戦っていた。


いつもどおりにゲームをしているつもりだった。久しぶりにやったゲームが面白くて、ラスボスまで行き着いた…のに。気が付けば、PC内にいて、意味不明なテンションの帽子屋(仮)や、わけのわからないなぞなぞを出すチェシャ猫(仮)に導かれて(?)なぜか戦っている。…アリスってこんな話だったけ。

ウィルスって増殖するからキリがない!!


「もぅ…!いい加減にしてよぉおおお!!」


そう叫んだ瞬間。


「君がウィルス駆除ソフトを利用してないからにゃ」


…チェシャ猫(仮)が後ろにいた。うん。酷いわ。手伝ってよ!てか、ウィルス駆除ソフト使ったら、見たいモノ見れないし、遊べないじゃないの!!


「そんなのインストールするなんて、お断り、なんだからぁ!」

「んじゃ、頑張ってね」

「え!?ちょ、助け、きゃぁああああ―――――――!!!」




ゴツンっ!

気が付けば私は椅子ごと後ろにぶっ倒れていた。


「あ、あはは、夢かぁ…」


あんな夢、もう見たくない。そう思って私は、ウィルス駆除ソフトをインストールしたのだった。









                      そのとき、デスクトップの猫が笑ったように見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

電子の国のアリス 黒庭紫姫 @SikI0529

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る