『Ruby王子の1日』~悪友登場~
バルコニーへ向かう途中、柱に襟足長めの白髪・白を基調としたキラキラな衣装を着こなした、Ruby王子と同じくらいの年齢の青年が腕を組んで凭れていた。
「よう、Ruby」
その青年ー白を基調としたシンプル且つきらびやかな衣装を身に纏った、隣国の王子でもあり悪友・Pearl(パール)ーがRubyを呼び止めた。
「Pearl、来てたのか」
「呼ばれて仕方なく」
「仕方なくてなんだ、仕方なくて」
「冗談だって、ダチの誕生日会に来るのは当然だろ」
両陛下は先にバルコニーへ向かい、Ruby王子がPearl王子に歩み寄る。
「へぇ、馬子にも衣しょ…」
「言うな」
先程従者から同じ言葉を聞いたRuby王子は途中で遮る。
「あ、とりまハピバ、これプレゼント」
そんなRuby王子にPearl王子は、軽い言葉遣いと共に、どっから出てきたのかどっさりと真っ赤な薔薇の花束を差し出した。
「……それは僕への嫌がらせか」
一瞬言葉が出遅れた。
「やだなー、プレゼントと言ったら薔薇の花束っしょ?」
当然とでも言うようにPearl。
「普通は女性に送る物だ」
それに対してRuby。
もっともな意見だ。
「Rubyは見た目似たようなもんだろ?」
「失礼だなお前、僕は女じゃないからこんなもの嬉しくない、誰か捨てておけ」
当たり前の如く言うPearl王子に、"女顔"というトラウマごとバッサリ切り捨てるRuby王子。
「ひでぇの、折角お前の為に2千本も発注した珍しい薔薇なんだぜ?」
2千本…なんて中途半端な数。
「はぁ、仕方ないな…Onix、どっかそこら辺に飾ってくれ。目に付かない隅っこで良いから」
Pearl王子に根負けしたRuby王子は近くにいたOnixに花束を放り投げて命令する。
「かしこまりました、Ruby王子」
Ruby王子の命令に素直に頷き従うメイド・Onix。
本当に隅っこに飾るのだろうか?
「まぁちゃんとしたプレゼントは別に用意してあっからさ」
「じゃあ何故花束を寄越す必要が…」
「嫌がらせ」
「…………」
Ruby王子のセリフを遮り即答する。
やっぱり嫌がらせか。
「ちゃんとした贈り物は後の城内での集まりにでも渡すから。ほら早く行かないと王様達待たせてるぞ」
「誰のせいだ、誰の」
突っ込まずにはいられない、そりゃそうだ。
「いーからいーから、ほら行った」
「ちょ、押すなって、僕は自分で歩ける」
半ば強引に背中を押され強制的に歩かされるRuby王子。
「俺はここから見てるからしっかりやれよ」
そう言ってバルコニー近くでPearl王子は手を離し見送る。
自分の周りはこんなのばかりなのかと、げんなりしながらも衣服を整え、深呼吸してからバルコニーの前のカーテンを開けた。
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