叛闘高校 〜アルトリア・エスケープ〜

@A1tri4

怪物の産声

某月某日、とある廃校にて。叛闘高校のメンバーがいつも通りの日常を送っていた。教室には隊長――ベル・フォン・デグレチャフ――とアルトリアの2人しか居なかったが。

「ぶえっくしょい!」

と、静寂の中に隊長のくしゃみが響き渡る。

「ああぁ…誰か噂してるのかな…そういえば、ねぇアル、くまとかあず見なかった?居ないしプリン食べていいかな」

突然のくしゃみに驚くアルトリアのことなど気にもせずにそう続ける。

「俺も見てないですし、また食べたら2人共怒りますよ?隊長も学習してください…」

言ってもどうせ聞かないだろうと思いつつも隊長を窘める。帰ってきてプリンが無いと気付いた2人の顔を思い浮かべるだけで胃が痛くなりそうだ。

「良いんだよぉ~、あいつらと戯れるの楽しいもん」

ニコニコと笑みを浮かべながら隊長が冷蔵庫の扉を開けると同時に、部屋の扉が乱暴に開かれる。バッと一緒に振り返った先には、息を切らすあずがそこに立っていた。

「げっ、あず、これは隊長として――」

「隊長!今そんな事はどうでもいい!」

弁明しようとする隊長を遮っていつもの口調も忘れてあずが声を上げる。

いつもとは違う様子に隊長もアルトリアもすぐに気付き、さっきまでの和やかな雰囲気を掻き消した。

「――なんか只事じゃない様子だけど。お前、その怪我どうした」

所々に怪我を負ったあずに隊長が険しい表情で問いかける。

「く、くまさんが…」

くまが、副隊長が良くない状況にあることを知らされた隊長が更に顔を険しくする。それがいかに最悪の事態であることか、アルトリアはまだ知らない。












――――人影が全く無い、暗く昏い路地にそれくまは呻く。

「ウ゛ウ゛ゥ゛ゥゥゥゥゥウ…ハラ、ガ、ヘッタ…喰ウ、人間ヲ…ァアアァア…タベタイ、タベ、タ、タス、ケテ」

――――人影が全く無い、暗く昏い路地にそれ怪物は産声をあげた。

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