オルクス

●解説

 ビルド適正:支援、妨害、RC


▼概要

 DXを始めたばかりの人に頻繁に「そもそもオルクスってなんなんですか?」とよく尋ねられるシンドロームであり、それに対して頻繁に「ぜんぜんわからない。俺達は雰囲気でオルクスをやっている」とよく答えられることで有名なシンドロームである。

 要するに因子をばら撒く事によって自分の支配領域を拡大してああだこうだするという、なんか、そういう……ほら、そういう奴である。


 「ああ、地形を変質させたりするのが得意なのね」と理解したら、今度は瞬間移動したり因果領域という名のダイスの出目に直接干渉したりしてきて「空間を自由に操るって感じかな」と思ったら今度は相手を直接洗脳したり動植物まで操り始めたりしやがる有様であり、エフェクトを理解すればするほど、いよいよテーマがしっちゃかめっちゃかになってきて全く要領を得ないシンドロームである。公式からしてもっとも謎に包まれているシンドロームとか何とか記載しているので、持て余している感は否めないのかもしれない。

 一言で要約するなら「なんか黒幕っぽい人とかボスの能力」と言うと多分だいたい伝わる。おそらく、後付でしこたま能力が増えてきた週刊連載漫画の黒幕のシンドロームなのであろう。


 そして、そういう評判に違わずオルクスはPCよりもどちらかといえばNPCというかエネミーに向いた演出の多いシンドロームであり、ついでみたいにオルクスを発症しているボスを随所で見かけることが出来る。

 というのも、ボスにとって都合が良いエフェクトを数多く所持しているのがオルクスだからである。

 まず、「要の陣形」がPC達の侵蝕率調整に対して抜群の効果を発揮する。PCが使って強いエフェクトはボスが使うと強すぎるということは割とあるのだが、このエフェクトはPCが使ってもボスが使っても割りと良い塩梅にしやすいのである。ボスに使わせる場合は、使用回数を絞っておくとなお良いだろう。

 起点となる白兵、射撃、RCエフェクトも一応それぞれ所持している点も嬉しい。

 トループですら一線級戦力にできる「導きの華」、「力場の形成」、「力の法則」といった手厚い支援エフェクトも実にありがたい。

 移動エフェクトも「縮地」やエネミーエフェクトの「見えざる道」などを多く所持している関係で、神出鬼没かつ唐突にPC達の前に意味深に現れ意味深に挑発して意味深に立ち去る事が手軽にできる点も見逃せない。

 それどころか「ハンドリング」を用いれば姿を現さず、カラスや黒猫といった動物に自らの代理を任せてシーンに登場し、PC達に強い不信感と監視を受けているという不快感を手軽に与える事すら可能なのである。

 さらには120%制限エフェクトの「ナーブジャック」やエネミーエフェクトの「ブレインジャック」によりPCの周辺にいる人物を洗脳・操作することも自由自在であり、ヘイトコントロールも思うがままである。

 イージーエフェクトでもひとりでに機械を動かしたり贋札を作りだしたりと胡散臭さ満載である。


 PCとして使う場合はサプリメントを利用しない限り、適当に高い社会修正を生かして無難に情報収集しつつ、適当に支援をなげることが得意というか他にやることがあまりない。ただし、サプリメントが増えれば増えるほど何でも屋になっていくシンドロームでもあるため、サプリメントが潤沢な環境であるなら、ほとんど何でも出来てしまうシンドロームである。火力も(他人越しだったりすることも多いが)十分出せる。そういうところも若干ボスっぽいと言えないでもないかもしれない。

 とりあえず、ビルドに困った時は「妖精の手」を最大Lvまでとっておけばそれだけでもいい。

 または、サプリメント「ヒューマンリレーション」を所持しているのならば、リミットエフェクトの「絶対支配」によるエネミーへのダイス操作が非常に強力である。

 もしくは、サプリメント「レネゲイドウォー」を所持しているならば、「天使の階梯」が待望のC値低下エフェクトであるため、強力かつ便利である。

 ただ、DX3rdは攻撃偏重のゲームであるため、支援屋は攻撃してくれる仲間の数が最低でも3、4人以上いないと大して機能しない。

 面子を見ながら運用する事を勧める。


▼ピュアブリード

 ピュア制限エフェクトの「支配の因子」と「絶望の領域」を利用したエネミー全体の無力化が強力だが、いずれもサプリメント「エフェクトアーカイブ」を使用した環境では1シナリオ1回しか使えない。1回でも十分すぎる効果ではあるが、これらは慣れないGMは対応に困りがちなエフェクトでもあるため、採用する場合は注意をしよう。初心者GMのクライマックス戦闘でこれらピュア制限エフェクトの最大Lvをぶつけることは、個人的にはおすすめしない。

 基本的には妨害・支援屋なので、「妖精の手」だの「ジャミング」だの「導きの華」だの「力場の形成」だのから欲しいエフェクトを適当にチョイスしていけばいい。サプリメント「レネゲイドウォー」が採用出来るなら「天使の階梯」も良い。これがあれば、ピュアオルクスでもC値低下を投げられるようになる。

 実際、そんなに幅広く選べるわけではないのであまり悩む事もないだろう。

 一応、数多くのRCエフェクトの他、サプリメント「エフェクトアーカイブ」で改訂された優秀な高係数エフェクトである100%制限の「完全なる世界」を有しているため、攻撃に転じることもできないでもない。専用Dロイス「動物使い」で獲得できる「アニマルアタック」も強力である。

 サプリメント「レネゲイドウォー」では待望の装甲無視RC攻撃である「鋼の顎」を手に入れ、サプリメント「バッドシティ」では社会置換白兵・射撃攻撃の「ディストーション」を手に入れたため、それを利用してみるのも手だろう。特に「ディストーション」が採用できるなら、「コンセントレイト」や「妖精の手」と合わせることで命中問題は容易に解決できるようになる。

 とはいえ、攻撃方面については、それをわざわざオルクスピュアでやる必要があるかと言われれば閉口せざるを得ない。特にオルクスのRCエフェクトは同一エンゲージに効果を及ぼすことが難しいものが多いため、「縮地」などのフォローが必要になる点も向かい風である。白兵や射撃を選ぶ場合でも、だいたいの場合は他シンドロームと組み合わせたほうがビルドしやすいだろう。

 正直にいえば、ピュアブリードのオルクスの最大の利点はそういったところでなく、万能支援エフェクトである「妖精の手」や強力な火力支援エフェクトである「力の法則」の最大Lvがのびることである。特に「妖精の手」の回数が増えることが重要であり、ピュアブリードのオルクスを選択する場合は、出来る限り「妖精の手」を最大Lvで取得しておきたい。余裕があれば、リミットエフェクトの「妖精の輪」にも手を伸ばしておこう。

 また、サプリメント「ヒューマンリレーション」を有するのであれば、「支配の領域」のリミットエフェクトである「絶対支配」の最大Lvが伸びるため、エネミーに対する非常に強力なダイス操作が可能となる。「ジャミング」もあわせれば敵の命中達成値を回避可能な値に押しとどめる事も不可能ではない。


▼クロスブリード

 基本的なオルクスの運用法であり、「要の陣形」と「導きの華」の支援コンボをさらに広げられる組み合わせが求められる。

 無難所はやはりソラリスやノイマンと言った鉄板所であるが、オルクスは100%制限のエフェクトが強力であるため、適当なRC屋と組んでそれらを生かす方向に進んでも面白い。視界が開けた場所でさえあるなら、「縮地」の関係で移動力が貧弱な白兵屋は完封する事が可能である。

 とはいえ、基本はやはり支援屋であり、攻撃面については他シンドロームに一歩譲る感は否めない。サプリメントを多数採用出来る環境であるなら話は別であるが、そうでない場合は、他シンドロームの高火力エフェクトを良く吟味して、オルクスと掛け合わせると良いだろう。

 逆に言えばユーティリティには優れているということであるため、特に射撃屋の相方候補に優れている。いわずもがな、高行動値からの「要の陣形」による複数同時攻撃が強いからである。命中不足も「妖精の手」で無理矢理何とかすることが出来る。


▼トライブリード

 クロスブリードと基本的な考え方は何もかわらないが、優秀な100%制限エフェクトである「力の法則」が取得できない事から、積極的にトライブリードを選ぶ理由は薄い。

 単純に「妖精の手」の付属品と考えるのも悪くはないが、それだったらウロボロスでいい。トライだと「妖精の手」の最大Lvも下がってしまう。

 では何をこの組み合わせに見出すのかといえば、もっとエフェクト数を増やしてさらに支援の幅を広くする……わけではなく、サプリメント「エフェクトアーカイブ」以降に収録されているリミットエフェクトを活用するためである。

 中でも「バックスタブ」はトライブリードにしろといわんがばかりの性能を誇るデザイナーズコンボエフェクトであり、白兵屋の大技として選択すれば大火力を期待できる。

 「縮地」によって一瞬で距離が詰められる点も白兵攻撃の戦略と合致している。周囲に味方がいなければ、「奈落の法則」も合わせることで強力な妨害効果を発揮する事も出来る。

 オプショナルに選択しなければ80%制限の「オーバーロード」を武器作成エフェクトなどで乱発してみるのも面白い。

 それでも、イロモノ感は拭えないため、結局の所、やはりオルクスの基本は支援屋である。トライブリードを選んだ時点でパズル染みたビルドになることは避けられないとも言えるが、攻撃的なオルクスにしたい場合は、更にパズルの難易度が上がると考えて挑むと良いだろう。サプリがなければないで命中と火力の間で悩むことになり、一杯あったらあったでデータ量が増えて参照に苦労するからである。


▼専用Dロイス

 支援が強いシンドロームのくせに、何故か専用Dロイスはどちらも攻撃的なDロイスである。しかも火力系。

 これらを採用して火力を補うのも手であるため、アタッカーを組む場合は採用を検討しても良いだろう。

 特に「動物使い」は使いやすい上に雑に強力であるため、RCアタッカーや交渉アタッカーを組みたい場合は、採用を検討すると良い。

 

▼専用ユニークアイテム

 専用ユニークアイテムは「上級ルールブック」収録のものは揃いも揃ってボス向きである。

 しかし、サプリメント「インフィニティコード」収録のものならPCでも中々に有用である。特に「ミーミルの覚書」は安価で高い効果を発揮するため、情報収集に不安がある場合は気安く握っておくといい。「支配者の王笏」も若干高値なのが不満点だが、使用制限が緩いため、使ってみると中々悪くない。


 大幅にアイテムデータが追加・修正されたサプリメント「アイテムアーカイブ」では、何と言っても「華美なる華」が強力である。使い捨てではあるが、「導きの華」に攻撃力増加効果まで付与できるアイテムであり、まさに支援オルクスの欲しい物を与えてくれる。アタッカーが複数いるパーティなら、クライマックス用に一個は持っていきたいユニークアイテムである。

 同じく使い捨ての「妖精樹の種」も便利である。消費経験点はそこそこだが、これで「妖精の手」の回数を一回分回復できるのは非常に嬉しい。特にトライは「妖精の手」の回数を確保する手段に難儀することが多いため、保険として採用する場面は少なくないだろう。

 高価ではあるが、「デスティニーストーン」も魅力的である。一回限りとはいえ、敵味方問わず誰かの達成値を後出しで20も上げ下げ出来るというのは驚異的である。経験点が潤沢にある環境なら、必殺技として握ってみるのも悪くないだろう。


▼独断と偏見の便利エフェクト早見表

「妖精の手」

 圧倒的な汎用性と支援力を誇る凶悪支援エフェクト。

 とりあえず最大Lvでとっていい。


「導きの華」「領域の加護」

 定番支援エフェクト。

 これらを味方にバラまくのがオルクスの基本戦術。


「要の陣形」

 対象増加エフェクト。

 主にGM用だがPCが支援で使っても当然強い。


「力の法則」 100%制限

 攻撃力支援エフェクト。

 自分を対象に出来ないが、Lv×1d10+1d10と係数が高く、強力。


「縮地」

 移動補助エフェクト。

 これを用いた引き撃ちはそれだけでだいたいの白兵屋を殺す。


「アニマルテイマー」

 ダイス増加エフェクト。

 地味に+1がついている上にシンドローム技能なので使いやすい。


「縛鎖の空間」

 RC重圧放心付与。

 放心はほとんどおまけだが、重圧は強い。


「奈落の法則」

 C値増加。

 ラウンド中の全ての判定に有効だが、味方まで巻き込むのが難点


「領域の盾」

 非常に珍しい他人にカバーリングさせるエフェクト。

 味方全体のリソース調整に役立つ。


「オーバーロード」 80%制限

 攻撃力増加エフェクト。

 武器破壊のデメリットがあるため、クロスやトライで活躍する。


「拡散する世界」 100%制限

 効果拡大エフェクト。

 消費HP20は辛いが自分以外にも使える点は素晴らしい。


「完全なる世界」 100%制限

 ダイス&攻撃力増加。

 ダイスに+1がついている上に攻撃係数も3の超高性能エフェクト。


「バックスタブ」 リミットエフェクト

 白兵攻撃力増加。

 条件こそあるが係数5の大火力を誇る。


「絶対支配」 リミットエフェクト(ヒューマンリレーション)

 ダイス操作エフェクト。

 Lv+1個の出目を1にかえるというとんでもない効果を持つ。


「鋼の顎」(レネゲイドウォー)

 待望のRC装甲無視攻撃。

 同一エンゲージは相変わらず攻撃できないが強力。


「天使の階梯」 80%制限(レネゲイドウォー)

 こちらも待望のC値低下支援。

 ピュアでもC値低下が飛ばせるようになるのは嬉しい。


「隠された世界」 100%制限(レネゲイドウォー)

 単体化デバフ。

 これはシーン攻撃も単体化が可能であるため、非常に強力。


「ディストーション」 (バッドシティ)

 待望の白兵・射撃社会判定置換エフェクト。

 「バックスタブ」が一気に使いやすくなった。


「シングインザレイン」 リミットエフェクト(バッドシティ)

 待望の「雨粒の矢」強化。

 一応、これで「サイレンの魔女」との差別化はできた。


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