仲間達と空さんの得意料理


そらさんが、

巨大な箱をかかえてやってきました。


「俺のダチが、

すっげぇ量のジャガイモ送ってきてくれた!」


ドン!!


と、床が抜けそうな音を立てながら、

箱が置かれる。


ふたを開けると、

様々な種類のジャガイモがぎっしりとまっていて、

やわらかな土のにおいがした。


「立派なジャガイモですね。」


「だろ?

折角せっかくだから、みんなで食べようと思ってさ。」


今日の昼食は、俺が作ってやるよ!


そう言うとそらさんは、

機嫌きげんで再び箱をかつぎ上げ、

軽い足取りでキッチンへと向かっていく。


「楽しみですね。」


ジャガイモ料理と言えば沢山たくさんの種類があるが、

彼は何を作るのだろう?


ころがしかな?」


「コロッケかもしれないぞ?」


「俺はグラタンがいい!」


「いや、ニョッキかもしれないぜ。」


全員が楽しそうに昼食について話しているが、

そんな中ただ1人、

こおりさんが眉間みけんしわを寄せ、

考え事をしているのを見かけた。


「どうしたんですか?」


「・・ああ。」


嫌な予感がすると思ってな。


・・彼のこの予感は、

30分後に見事的中する。



30分後。



「・・。」


私達は目の前にそびえ立つ物に、

全員で絶句していた。


「どうした?

早く食べないと冷めるぞ。」


これを製作し、

運んできてくれたそらさんはそうすすめてくれるが


「・・えっと。」


目の前の料理はホカホカと・・というより、

すさまじい熱気をはなっている。


それになにより、

その量に圧倒あっとうされてしまって、

手を出す事が躊躇ためらわれてしまうのだ。


「・・なあ。」


同じように料理を見ていたつるぎさんが、

そこから目をらさずにそらさんに声を掛ける。


「何だ?」


「色んな種類のジャガイモがあったよな?」


「おう。」


「全部使ったんだよな?」


その質問に、

彼は無邪気むじゃきな笑顔で答えた。


「作ってたら楽しくなってきてな!

ついつい多く作っちまった!」


まあ、みんな食い切れるからいいだろ。


その声に、

我に返ったおもさんが言う。


「・・量はかまわない。

だが、どうして」


全部フライドポテトに・・?


そう。


私達の目の前にあるのは、

大量のフライドポテトで出来た

巨大な山だった。


そらさんの話によると、

あの箱の中のジャガイモ全てが、

このフライドポテトに進化したらしい。


「俺の1番得意なジャガイモ料理なんだ!」


「・・嫌な予感はこれだったか。」


溜息をつくこおりさんの側で、

つるぎさんが山の中から5本ほど引っ張り出した。


「美味そうだからいいか。

いただきまーす!」


彼が挨拶あいさつをしながら口に放り込むと、

驚いていた仲間達や私もそれにならい、

山から引き抜いていく。



「うーん・・。」


「これ、減ってるのか?」


それから全員で10分ほど食べたが、

山は一向に小さくなっている気配が無かった。


「美味いけど、

塩味だけだと少しきてくるな。」


「味変えてみようぜ!」


そう言って数名が、

キッチンから色々な調味料を持ってくる。


「お、これ美味い!」


カレー粉と塩を混ぜた

『カレー塩』をつけながら、

つるぎさんがそう言った。


「これもいいぞ。」


タバスコで真っ赤になったポテトを食べながら、

こおりさんも言う。


あ、これ以外と合うぞ。


こっちも美味い。


個人個人で調味料をしながら、

全員が結局最後まで美味しく食べ進め


40分後には、

ポテトの山はキレイさっぱり無くなったのでした。


・・あの量なら、

塩だけでもみんなは食べきれた気がする。




仲間達と違って、

お腹一杯になりかけていた私は


おもさんとそらさんが作った

『チョコソース掛けポテト』と

『ポテトのバニラアイスディップ』を

デザート代わりにまんでいました。


意外と美味しかったです。

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