空さんとペット


2人でお菓子を食べていると、


「そう言えばさ。」


と、そらさんが話し出した。



彼には、

元気なおいっ子とめいっ子がいるのだが。


その2人は動物が大好きらしい。


最近はずっと動物を飼いたがっていたらしく、

2人でずっと両親にたのみ込んでいたが、

許可きょかは出ていなかったそうで。


しかし先日、

ついに2人の必死さに根負けした父親に、

やっと念願の牧場に連れて行ってもらえたそうだ。


「牧場ですか?」


私が炭酸ジュースを飲みながらたずねると、

クッキーを食べながら彼は言う。


「おう。

俺らのトコでは、

動物が欲しい時は専用の牧場に行くんだ。


そこには、

スッゲー頑固がんこで動物好きな飼育しいく員ばかりいてな。


そいつらに出されるきびしい試験に合格した後、

望む動物との相性を調べた上で、


初めて飼う事を許されるんだよ。」


「へぇ~。」


で、2人は試験に優秀ゆうしゅうな成績で合格し、

欲しがっていた動物との相性も非常に良かったらしい。


「・・でも、おいっ子が


『やっぱりやめる。』


って、言いだしたんだ。」


「どうしてですか?」


すると、

そらさんは微笑ほほえまし気な表情で笑った。


「突然ハッとした表情で言ったらしい。


『学校に行っている間、一人ぼっちになっちゃう。

この子がかわいそうだ。』


ってさ。」


「優しい子ですね。」


「だろ?


そしたら、めいっ子が、


『わかった!

学校お休みしたらいいんだよ!』


って、


『いい事思いついた!』


みたいな表情で言ったんだとさ!」


その案の微笑ほほえましさにられ、

私も思わず笑ってしまう。


「子供らしいけど、

その子なりにさみしくないように考えたんですね。」


「だろ?

2人ともいい子なんだよ。」


結局、

その優しさと微笑ほほえましさに感動した2人の父親が、

その動物を飼う事を許可きょかしたそうで。


2人は見事みごと

望んでいた動物との生活を始めたらしい。


「よかったですね。」


「ああ。

最近は、毎日その動物と遊んでいるんだと。

世話も協力してやっているらしいぜ。」


そらさんが笑いながらそうめくくるが、

私はその動物が何かを聞いてない事を思いだした。


「それで、

2人が飼いたがってた動物って何ですか?」


やっぱり、

犬とか猫とかの可愛い動物だろうか?


「オニヅノウロコゴリラ。」


「は?」


オニヅノウロコゴリラ。


名前を聞き返した訳ではないです。


「2人が愛情いっぱいで育ててるから、

きっと学校の間もさみしがってないだろうさ!」


「・・。」


そのペットなら多分、

大抵たいていの事は1人で何とかできると思います。


・・私はその言葉をそっと、

炭酸ジュースと共に飲み込んだ。




その後

『仲良くなれる可愛い動物』

という図鑑ずかんで調べた情報です。



『オニヅノウロコゴリラ


森林や沼地など、

木や水がある場所に生息する大型哺乳ほにゅう類。


れ単位で生活し、

意思の疎通そつうはかれるので、

幼い子供のいる家庭などでも非常に飼いやすい。


性質はきわめて温厚おんこうで、

温和おんわ


その性質から、

『動物の賢人けんじん

ともしょうされる。


攻撃性は全く無いが、

家族に危機ききせまった時のみに、

守るための攻撃行動にうつる。


敵には容赦ようしゃが無く、

危害を加える者が殲滅せんめつし、

家族の危険が無くなるまでは攻撃をめない。


かつて、

飼い主の幼い子供と散歩に出た5歳の雄が、

あやしに襲われるという事件が起きたのだが。


助けが来る3分間の間に、

300匹からなるあやしの1団を全滅させ、

子供を守った記録が残されている。


怪力と呼べるぐらいに力が強く、

パンチ力は30トンを超え、


全身のうろこは毒や攻撃をね返す、

強力なよろいになっている。』

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