花見と弁当
「着いた~!」
今日は、
以前から計画を立てていた花見の日だ。
桜の下に大きなシートを広げ、
それぞれが持っていた荷物を下ろしながら、
辺りの桜を見渡す。
「良い天気だ。」
「ここには人がいないから、静かに見られるな。」
「
口々に桜の感想を言っていると、
伸びをしていた
不満そうな声を出した。
「早く飯にしようぜ!
俺、腹減ってんだけど。」
「予想通りの反応は止めろ。」
彼を
折角の花見に
そう思った私は2人の間に入り、
止める事にした。
「ここまでくるのに
時間かかりましたし、仕方ないですよ。
私もお腹空いてるんで、もう昼食にしましょう。」
「そうだな。
他にも、腹を空かせている奴がいるようだ。」
そう言って笑う
・・シートの上に座っていた仲間の半分以上は、
すでに弁当箱を手にし、黙ってこっちを見つめていた。
「・・
溜息を吐いた
全員で
いつもと違って、今日は各自で
弁当を持って来る事になっていた。
個性的な仲間達が、
どんな弁当を持って来るのか
私は
隣に座った
「美味しそうですね。」
「そうか?いつも通りなのだが。」
色合いや栄養もバランス良く
考えられているようだ。
「食事は体作りの基本だからな。
常に心掛けている。」
離れてはいるが、
ここから見える
栄養バランスが良さそうだ。
うん。
今度は正面に座っている、
「・・なんだ?」
「そういえば、
意外な事に肉主体のガッツリ系だった。
それに、量も結構多い。
(この体のどこにこの量が・・。)
どこにそのカロリーがいくのか疑問になり、
思わず彼を
すると、彼は私に向かって鼻で笑う。
「そんなに見ても背は伸びんぞ。」
「離して下さい、
「落ち着け。」
今なら、
気のせいだから止めておきなさい。
どうしても離してくれない
立ち上がった私は2人の側から離れた。
私の背は断じて低くはない。
190を超えている
低く感じるだけなのだ。
そのまま歩いた私は、
その輪に加わった。
「お?」
「どうした?
ゾウアザラシみたいな顔して。」
「どんな顔ですか。」
そう言って私は、思わず笑ってしまう。
「また兄貴に
「気にすんなって!」
「さ!飯は楽しい気分で食おうぜ!」
いつも騒ぎを起こす
しかし、
他の仲間の心境の変化に、
落ち込んでいる時
悲しんでいる時
そういう時にこのメンバーは
こうやってさり
だからつい、
多少の騒ぎは
「いただきまーす。」
自分の分の弁当を開けた時、
視界の
この光景は見慣れてはいるのだが・・。
「・・相変わらず大きいですね。」
「そうか?」
だから、
この『巨大5段重箱を10個』持って来るのは
予想がついていたので、驚かない。
気になるのは、
『何に入れて持って来たのか』くらいだ。
それともう一つ。
「奥さん、作るの大変じゃないですか?」
「ん?」
夢中で食べていた
口の中の物を飲み込み、お茶を1口飲んで言う。
「『子供達の分と一緒に作ってるから、
気になさらないで下さいな。』って言ってたぞ。
それに、俺も手伝ってるしな。」
「
「おう。」
「まぁ、料理はできるに
そう言って
全員が突っ込んだ。
お前のは料理じゃねぇ。
お前が料理を語るな。
それは、料理のカウントに入りません。
この場の全員から否定され、
話を聞いていた彼は不思議そうな顔をする。
「え?この弁当、俺が作って来たぞ?」
「そこじゃねぇよ。」
溜息をつかれ、
頭に
ノリが良く、気さくで陽気な、
基本的には優しいお兄さんだ。
しかし、
このヒトも
問題児である。
それと、彼には問題がもう1つ。
「なんで菓子を弁当箱に入れてんだよ。」
「美味いぞ。」
そう言い、
美味しそうに弁当箱の中のケーキを食べた。
持ってきている弁当は5段重箱8つ。
その全てが、
彼手作りのお菓子で
「相変わらずですね。」
「少し食うか?」
ほい。
弁当箱から1個クッキーを出し、
それを私にくれる。
クッキーは
甘くて香ばしい匂いが
「いただきます。」
匂いに釣られた私が、
「ダメだ!!」
慌てた
「あ!・・なにするんですか。」
「あいつの菓子は止めとけ。
・・
「え?」
驚く私に、別の仲間が続けた。
「高いなんてもんじゃないんだ。
あいつの作った菓子食ったら、
1週間は何も食わなくても生きていけるからな。」
「え?え?」
混乱する私に、
「
窓から鳥が入ってきてな。
落ちてたクッキーの
まん丸になった。
・・あいつの菓子を食って無事だったのは、
同類のオジキだけなんだよ。」
それでも食うか?
静かにそう聞かれた私は、
そっと目を
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