第11話

「いかがです? あの二人の力は?

 ご主人様の力になれそうですか?

 片方は世界で唯一の魔法理論を見つけ、自由自在に操る元宮廷魔道士。

 もう一方は、最古の孤島の主であるドラゴン。

 どちらとも小国程度であれば、一人で亡すことができる存在ですわ」

「ーーえっ」


 いきなり背後から少女の声が聞こえてきたので、驚きの声をあげるジノ。

 少女は漆黒のドレスを着ている。年齢は10代前半くらいに見える。肌がとても白く唇が鮮やかに赤い。

 幼い様子にもかかわずとても美しい。その妖艶さ。

 今、この場所はリィーセとチィーヤがとでもない魔法戦を繰り広げている。

 こんなところに一人でやってくるのだ。普通の人間ではないのだろう。警戒した方が良さそうだ。表情が自然と固くなる。

 一方、少女は上品に手を口元に軽くあて、うふふ、と笑い、


「あら、嫌ですわ。ご主人様。

 わたくしはご主人様の召使い。道具でございます。

 警戒されなくても問題ございませんわ」

「そう言われてもな」

「大丈夫でございます。

 もし、今の状況がご主人様のお気に召さないのでございますのであれば……、ご主人様にご安心できるようにしたいのですが……」

「……具体的に?」


 目の前の少女に話しを促すジノ。


「はい、そうですねぇ〜〜、安心していただくために、わたくしの手足を紐で縛るというのはいかがでしょう?」

「却下だ」


 いきなり変なことを言い出し少女。

 幼い少女にそんなことをしたら人格が疑われてしまうと思うジノ。


(ただ、突然変なことを言い出すのに表情を変えず、当然なように言うなんて……、違う方向でヤバい奴なのかもしれない)


 一方、少女はジノに却下れた後に一瞬戸惑いの表情を見せる。

 ジノはむしろ、こっちがそんな考えに至ったのか聞きたいと思っていると、


「それでは、わたくしが何も危険な物を持ってないと身の潔白を晴らすため、服を全部脱いで確認していただく、というのはいかがでしょう?」

「それも却下だ」


 なんか変な方向に向かっていると思うジノ。

 少女の方は、「えっ、」と驚きの顔をしたあと、顔を赤らめてもじもじしだし、


「そ、それでは、さっき提案した内容を二つ組み合わせる、というのはいかがでしょう?」

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