第6話

『コン、コン』


 俺やリィーセがいるログハウスのドアを誰かが鳴らした音が聞こえた。

 と同時と思えるくらいにすぐに、


「ちぃっ、」


 と、リィーセが舌打ちをする。

 思いっきり嫌そうな顔をしている。


「ドアを誰かがノックしたようだが……、誰が来たのか知っているのか?」

「いいえ、知りません」

「だが、さっき明らかに舌打ちをしていなかったか?」

「いいえ、そんなことはしてません。気のせいです」

「本当か?」


 と言ったあと、ジーっとリィーセの目を見る俺。

 リィーセの目が泳いでいる。

 明らかに誰かが来たのか知っていそうな顔だ。

 リィーセは何か俺に隠し事をしているのだろう。

 本当ならば俺がドアの方に行って客人をもてなした方がいいのだろう。

 だが、今の俺は異世界を渡ったことによる体への負担により体が動かない。仕方がない。リィーセに行って来てもらうか。面倒ごとにならなければいいが……。


「リィーセ、そうしたら、悪いがお客さんが来たようだから、ドアの方に行って来てくれないか?」

「こんな山の中のログハウスにくるような人はきっとろくな者じゃないと思います。

 だから、今回は居留守にしましょう。

 音を出さなければきっとわからないですよ」


 と、言ったあと、人差し指を口に当てて、しぃー、と言うリィーセ。

 だが、リィーセがそう言ったのを見計らったかのように、


『コン、コン、コン、コン』


 とまたドアを鳴らしてくる客人。

 しかも、前回は2回しか鳴らさなくて普通だったのに、今回は4回鳴らしていてなんだかイライラしてきているような印象が伺える。

 そんなお客さんの雰囲気を俺は察し、


「念のため誰が来たのか行って来てくれないか?」

「誰だかお兄様が気にする必要はないと思います。

 放っておきましょう」

「いや、見て来て欲しい。

 ドアを鳴らす様子から、今回放っておいたとしても、またすぐにくるだろう」

「お兄様。そんな必要はないと思います。

 どうせこんなところに来て何度もドアを鳴らすような奴はロクでもない奴か、なんかのしつこい営業に決まってます」

「わかった、わかった。

 もし、ロクでもない奴か営業だったら家に入れずに断って来ていいから、いちお見て来てくれ、」

「うぅ〜〜、わかりました。

 もし、私が必要ないと思ったら、断って来ます」


 ほおを膨らませながら言うリィーセ。


「頼む」


 と俺が言うと、リィーセはドアの方に向かって行った。

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