第五章

何時間経ったんだろう?

少年が、目が覚めると、兄弟たちは、すでに起きていて、弟と、妹が、色とりどりの木の実らしきものを、スカートいっぱいに抱えていた。


兄が、「お前ら、それ毒だっら、どうすんだよ!」と、二人を叱っていた。


僕は、「そうか、小鳥がいるくらいだから、木の実もあるよね」と、寝ぼけながら。安楽に言った。


兄は、「何簡単なこと、言ってんだよ。毒なら、死んじゃうんだぞ!」

少年は、「あ、そうか。わからなかった。ゴメン」と、謝ると、「あれ?シヌて、なんだったっけ?」と、また、わからなくなった。


少年の言葉を聞いた、兄は、「あ、そうだ。シヌってなんだ?」と、兄も混乱し出した。


妹たちは、「いいじゃん、食べちゃおうよ。」


弟が「食べたら、パパとママとまた、会えるかもしれないよ」と、言うと、今まで堪えていた気持ちが、溢れ出し、スッと、スカートに囲まれて入っている、木ノ実に手を伸ばし、食べてしまった。



弟たちは、びっくりしたが、嬉しそうに木ノ実を食べ出した。


僕は、戸惑ったけど、三人の美味しそうな顔を見て、一緒に食べた。


甘い木ノ実や、酸っぱい木ノ実、苦い木ノ実、いろいろあって、四人は、完食した。


食べ終わると、今日は、どうしようか、話し合いを、始めた。


服がまだ、乾いていなくて、乾くのは、だいぶ先になるだろう、と、いう話になり、じゃ、今日は、辺りの探検だけにしようと決めた。


探検と言っても、妹たちが、木ノ実に釣られて、あちこち歩きまくったから、あまり、行けるとこも限りがあった。


それでも、少年は、一旦休んだけど、すぐに、森を調べに歩いて行った。


高い木々の中、いろんな香りがして、気持ちよかった。特に、鼻がスーと、する香りを嗅ぐと、とても気持ちがよく、木々と木々を、飛んで移動している小鳥を見つけると、嬉しくて、後を追ってしまった。


そう、少年は、迷子になってしまったんだ。


兄弟たちは、少年が、いつになっても、元の場所にいないので、心配になった。

兄弟たちも、木の実取りをしたくて、三人とも、寝所から、離れていた。


少年は、小鳥たちに、「ねえ、僕の帰るとこは、どこ?僕、迷子になっちゃった。あの子たちのところに行きたいよ。」


すると、小鳥たちが、一斉に飛びだし、まるで、後をついておいで、とばかりに、同じ方向に飛んで行った。


少年は、木だらけの森の中を、必死で着いていった。


そして、しばらくすると、バーっと、バラバラに飛びだし、森の奥へと飛んで行った。


少年は、木々の中を、くぐると、そこは、少年たちの寝所で、兄弟たちも、そろっていて、みな、ホッとした。


兄は、「僕たちも、ここを離れて、迷子になっちゃったけど、君は一人だったんだから、危ないから、一人では、離れないでね。」と、言った。


小鳥たちのことは、気づいていないようだった。


また、森は静かになった。


少年たちは、お昼ご飯を、食べることにした。食べ物は、木の実。


「これ、甘いんだよね。美味しいから、いっぱいとってきたよ。」と、妹が自慢すると、兄は、「小鳥たちの分は、残ってるよね?」と、小鳥たちを心配した。


「のど乾いたね。僕、川の水、とってくる」と少年が、言うと、「無理しないでね、川もあの辺のにしなよ。それ以上先は、危ないから」と、兄は、言うと、少年は水場に汲みに行った。


少年は、水汲み場に着くと、茎の長い木の葉っぱを身体にまきつけて、兄たちが、持ってきた水筒に、川の水を入れていった。


水を汲み入れて、安心した時、木の葉っぱが、スルッと取れた。


間一髪だった。

気づいたら、兄が、僕の足をつかんで、倒れていた。

僕は、頭が、川の手前に落ちた状態だった。


僕は、急いで起き上がろうとしたら、兄が足をガッチリ腕で掴んでいたんで、起きれず、やっと何があったか、理解した。


「もう離しても、大丈夫だよ。」と、言うと、兄は、「怪我していない?僕、間に合った?」と、とても心配した声で、聞いた。


「うん。ありがとう。君がいなければ、この川に落ちて、流されていたよ。」


すると、兄は、「ゴメンね。君だけでも、出来ると思ったんだけど、なんか、無性に怖くなって、座ってられず、すぐに追ってきちゃったんだ」


兄は「僕、君がいなくなるのが、怖いんだ。君がいなくなったらって、本当は、すごく不安で」と、彼は、涙を流して、本音を打ち明けた。


すると、少年は、「そうだったんだ。僕から見て、君は、強く見えて

いたから、僕、君のこと、間違ってた。ゴメンね。

これからは、お互いで、内緒なしで行こう。」と、約束した。


兄弟たちのとこに、戻ると、「どう

して汚れているの?転んだの?」

と、妹が、驚いて言った。

「うん、ちょっとドジっちゃって」と、少年は言った。兄も、苦笑いをした。


四人揃い、兄は、パパ達がいなくなる前のはなしをすることにした。


実は、兄は、あの日、母親を連れて行った老婆に会ったことが、あることを話した。


まさか、そのあと母親を連れて行くなんて、想像もしなかったから、軽く聞いていた。


兄は、少年に、「君と出会う前に、あのお婆さんに、会ったんだ。お婆さんは、僕に、あなたは、どこに行きたい?と、僕に聞いたんだ。僕は、いろんな街を旅したい、と応えたんだ。そしたら、叶うといいね。といわれ、僕たちは、別れたんだ。」


「不思議だね。本当に旅してる今。」

「ママも旅しているのかな?」と、弟が、言った。

「私、ママが嫌いだった。」と、妹が、言った。

少年たちは、驚いた。


兄は、「ママのどこが嫌いだったんだよ。ママは、みんなに優しかったじゃん!」と、口調が強くなり言った。


「ママは、あたしのこと、嫌ってた。女は、欲しくなかった、て。」


「そんなわけないじゃん!ママは、お前をとても大切にしてた。お前は、間違ってる。」と、兄は、怒って言った。


弟は、「僕、少し気づいていた。気づいていたけど、どうしたらいいか、わからなかった。ゴメンね」と、言うと、兄が「お前まで、何言ってんだよ。ママは、優しくてとてもいいお母さんだった!」


妹と、弟は、半泣きになり、すすり泣きだした。「ママは、パパだけが、欲しかったんだ。パパが、いれば僕たちは、いらなかったんだよ」と、弟が言うと、兄は、弟の顔を叩いた。


「ママは、僕たちを、愛してくれていたんだ!今だって、愛してる!ママだって、今、僕たちを探しているんだ!」と、兄も涙目になりながら、怒鳴った。


弟は、「お兄ちゃんだって、気づいていたはずだよ。だから、しょっちゅう家を抜け出して、街を探していたんじゃないか!」


兄は、言葉が出なくなった。

そして、悔し涙だけが、ポロポロ流れ落ちていった。


少年は、なぜか、涙が出て来て、みな無言で泣いた。


すると、小鳥たちが、サワサワ集まって来て、鳴き出した。


その鳴き声は、楽器を奏でる様に、明るく、心地よく、優しくて、心の中に入っていった。


四人は、泣き止むと、小鳥たちに、感謝した。


妹は、「でも、それでも、ママに会いたい。あたしのたった一人のママだもの」


兄は、自分が、他の街や場所を探していた理由がバレて、恥ずかしかった。


本当は、母が苦手で、避けていた。母親は、彼がいなくても心配をしなかった。帰っても、怒りもせず、どこに行っていたかも、聞かれることがなかった。


それでも、母がいることは、彼にとって、幸せだった。なぜか、自分に母親がいるのが、自慢に思えていた。


「不思議だったんだよな。僕が、生まれた時、もう弟が、いたんだ。こいつ、毛布の上で、手足をばたばたさせて、きゃっきゃして笑ってたんだ。そのときは、不自然に感じなかったんだ。


妹が、産まれた時、初めて疑問に思ったんだ。

僕、なんで赤ちゃんの頃の記憶が、ないんだ、って思って、パパに聞いたら、「赤ん坊の時の記憶がないのは、当たり前だよ。」て、言われて、考え直したんだ。」


少年は、「まるで僕みたいだね。僕は、あの草原にいつからいたのか。わからない。」


「どうして、僕には家族がいないのか、疑問もなかった。ご飯食べること、忘れていた。眠ることも」

そう少年が、言うと、「僕も不思議に思ったけど、草原が、みな忘れさせちゃうんじゃないの?僕たちも食べなくても平気になったし。でも最近、食べれるようになったけど。」


「そうだね。木ノ実いっぱい食べた。のども乾くようになったし」

と、弟が、言うと、「ここの木ノ実美味しいねー。どこまであるのかな?森中あると、食べ物に、困らないね」と、妹が言った。


「花も咲いているといいね」と、少年はなんとなく言った。

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