ラブなコメディーって案外すごく難しい
許原しらす
―――――転校しました。
プロローグ
「ヒロイン」について語ろう。
ヒロインは誰の心の中にいるだろう。二次元、三次元。きっとどこかにいるはずだ。
憧れの先輩。生意気な後輩。落ち着いた姉。わがままな妹。世話焼きの幼馴染。毒舌よかろう委員長。そして、おちゃらけた生徒会長。
だしたら、きりがない。
かくいう俺にだって「ヒロイン」はいる……。画面の中に。
はい、今笑った奴処罰対象な。
はっきり言って俺は現実に「ヒロイン」が欲しい。別に、画面の中の「あの子」も良い。しかし、しかしだ。三次元への後悔、心残りを胸の内に秘めて学校生活を送ることは、今の俺に到底できるわけがなく。なくなく、現状にあまんじている次第である。あまりに嘆かわしい。
そんな涙を誘う生活ともお別れだ。明日から新学期。高校二年生。青春の香りがブルーチーズ並に漂う学年。きっと生意気だが可愛い後輩に出会うはず!
二年生こそ、出会いを求めてやろう。彼女を作ってやろう。
俺はやるぞ!
意気揚々と階段を駆け下り、母へと明日のことを話す。
「母さん、明日は始業式だから早めに帰るよ。夕飯は何がいい?明日は俺が作るよ」
変なテンション(自分でもわかってる)で登場した俺に、母は短く嘆息し、俺の目標あらため幻想をぶち壊す。
「何言っての。アンタ転校するでしょ」
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