第2話

____ネ… ギツネ…… ギンギツネ!


「いや… **…」

「ねぇってば!」

「あっ… キタ、キツネ」


目を開けると、キタキツネが心配そうに覗き込んでいた。あの子と同じ、蜂蜜色の瞳だ。


「…っ!」

「わわっ!」


思わず抱きしめていた。キタキツネがバランスを崩して私に覆い被さる形になる。


「ごめんね… ごめんね…」

「…ギンギツネ、震えてる。一緒にお風呂行こ?」


キタキツネは泣きじゃくる私の頭をぎこちない手つきで、しかし優しく撫で続けてくれた。その暖かさが嬉しくて、切なくて、私は涙を流し続けた。


ののののののののののののののののののののの


お風呂でもキタキツネは何も聞かず、横に寄り添ってくれていた。薄々何があったか察しているのだろう。聡い子なのだ。聡くて、優しい子だ。

肌でキタキツネの呼吸を、鼓動を直に感じていると心が静かに落ち着いていく。


「…ねぇ、キタキツネ、あなたに話したいことがあるの」

「うん」


____そして私は全てを話した。大切な妹がいたこと。その妹が私が無力だった所為で死んでしまったこと。……その妹がキタキツネに似ていたこと。


「雪山でひとりぼっちで凍えていたあなたを見つけたとき、私が守らなきゃって思ったの。…きっと無意識に妹を重ねていたのね」

「…」

「…でも信じて!今はキタキツネが、妹の代わりとしてじゃなく、あなた自身が大事なの」

「…」



キタキツネはじっと俯いたまま黙って話を聞いていた。怒っているのだろうか。悲しんでいるのだろうか。その表情は髪の毛で隠されて伺えない。


「…ごめんなさ「嬉しい」


えっ


「ギンギツネがお姉ちゃんだったら、ボク、嬉しい」

「えっ えっ?」

「ギンギツネは、ボクが妹だったら、イヤ?」


_____もうっ!この子は!


「もう!そんなわけないでしょ!もう…」

「うぷっ ギンギツネ、苦しい…」

堪らずキタキツネを抱きしめる。胸が暖かくて、顔が熱くて涙が止まらない。キタキツネが胸に埋もれて苦しそうだが離せない。


守られているのはいつだって私の方だったのだ。私を明るく照らす、蜂蜜色の優しい太陽達。


ののののののののののののののののののののの


~エピローグ~


「キタキツネ、先にお風呂!」

「えぇ〜!一回遊んでからぁ〜!」

「ダメったらダメ!」

「……。あと一回だけ。お願いお姉ちゃん…」


「…しょ、しょうがないわねぇー!!!一回だけよ!!! もうっ もうっこの子は!///」

(…これは使える)


~fin~

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ギンギツネの夢 @nutaunagi1205

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