第11話「この本は」
失くしたと思って買い直した本を掃除した部屋のすみで見つけた。
普通の人ならば損をしたと思うかもしれない。けれど私はその再会を喜んだ。
その本は私にとって特別だったからだ。何を言っているのか分からないと思うので説明しよう。
その本は一回読んだだけでなく、何度も読み返した本だった。しかし、それだけでは特別とまではいかない。
その本は私がただ読むだけでは飽き足らず色々と手を加えた本だった。どういう事かと言うと、例えばその本には直接メモを取った。例えばそれは引用したいような場所にマーカーを引いた。
そうだ。
これは私が読むだけではなく思考をするための道具として使った本なのだ。
だから私にとってその本は特別なのだ。
だから損をしたとは思わない。
久しぶりに再会した友人を祝おう。
この本は私にとって特別なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます