第2話~春斗の目に映る景色~
マジか!あいつら何てことを…。
俺たちは文化祭二日目に1年次での卒業が決まった。まさかの事態に全員でお祝い的なことをする予定だったのに、すぐはぐれた。俺と咲希、夏澄と夏海のペアだけど、まさかこんなタイミングで二人っきりになるなんて思ってなかったからどうしたらいいのか…。
そう思ったのが数分前。まあ、幼馴染だし、そりゃふつうに昔みたいにいられるよな。
「なあ、どうせなら後夜祭も二人で抜け出そうぜ!」
だからなのか?そんなことを口走ったのは。待て、できれば後夜祭で告白したいのに、何で普通に誘ってんだよ。あほだろ。ああ、断られる…。
「うん、いいよ!」
「え?マジ?」
おいおい、マジかよ、結構ナチュラルだったぞ。
「うん、じゃあ、片づけ終わったら連れ出してね。」
「おう!当たり前だろ!」
その後も特に変わったこともなく、普通に文化祭を回った。
そして片づけの時間。俺と夏海は並んででかい荷物を教室に運んでいた。
「なあ、俺、告白できるかな?」
「は?」
夏海と二人きりになって弱気になったのかぽろっと言ってしまった。
「いや、咲希と後夜祭見ることになってさ、そこで告白しちまいたいなと思って…。」
「おお!やったじゃん!頑張れ!応援してるよ!」
「おお、頑張るわ!その代わり、振られたら慰めてくれよ!」
「なんで振られること前提?」
そう言って二人で大笑いした。
そんなことしてるうちに、片づけが終わった。うわ、マジか。まだ心に準備何てできてねーよ、どうすんだよ。ああ、早く咲希連れてこねーと。ってか、大丈夫かよ俺。
そして咲希を探して見てしまった。咲希が告白されてるところを。
って、は?嘘だろ?マジか。え?咲希はどうするんだ?
「ごめんなさい。わたし、他に好きな人がいるんです。」
「あ、そう、ですか…。」
…そう、なのか…。
俺の知ってる奴か?いや、もしかして夏海か?あの二人結構仲いいもんな。そうなのか?
そう思ってると、咲希がこっちに気づいてしまった。相手には謝ってからこっちに来た。
「ごめん、待ったよね?」
「あ、いや、大丈夫。そっち、終わった?」
「うん、ありがと。それじゃ、連れ出してください。」
「ああ、分かったよ。」
そう言うと、咲希は無邪気に笑った。
その顔を見て、俺は、俺は…。
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