第17話 魚さん太郎
土砂降り雨の中、僕は運転席に乗り込み、帰途についた。
後部座席では魚さん太郎が口をパクパクさせている。
制限速度30kmの道に差し掛かると、なにかが道路の上で跳ねているのに気が付いた。
「ねえ魚さん太郎。あれはなんだろう?」
魚さん太郎は相変わらず口をパクパクさせている。
目を凝らして地面を見ると、それは大量のエビだった。
「うわあ!なんだよこれここはインドネシアかどこかですか?」
僕は混乱して丁寧語を使った。
「うるせーよそんなことより海水くれよハゲが!」
魚さん太郎はいきなりキレた。僕はハゲていないのに。
土砂降り雨の中、僕と魚さん太郎を乗せた車はシーサイドウェイをとろとろと走る。
エビをひき殺しながら。
僕は暫くはエビバーガーやエビグラタンは食べたくないなと思った。
魚さん太郎はえら呼吸が出来ずに死んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます