第12話 原子の記憶

死体から土になり、雨水にさらわれ川になり、やがて海になり、雲になり、雨になり、地球に還元される。

そしてまた生き物の細胞と結合し、微弱な電気信号を脳に発信する。


同じ場所で生活する生き物は、同種の原子の記憶を取り込み易い。

そしてそれが同じ場所で暮らす生き物のシンパシーとなり、集団が生まれる。

いつしか僕らの意識はひとつになる。

そこからはもう何も生まれず、何も死なない。平行線の世界。


僕はよくその日が来た夢を見る。

心地よく安らかで死んだような気持ちになる。

遠くへ逃げたい。

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