第一章 夢宮翼という少女 五
五
「クソ、こいつら!」
この日の『スペース・フロンティア』での戦闘は大混戦となった。
『フラッグ争奪戦』イベントもいよいよ後半に入り、フラッグ持ち無人機の数、戦闘能力が増強されたことからもそのことは実感できた。
〈『タツヤ』、一機そっちに行った。物理装甲型〉
「了解! まずは撃破してフラッグを奪う」
今回拠点外へと出てフラッグ持ちを探していたのは俺と『ムウ』だった。発進から数分後、すぐにフラッグ持ちの無人機の一団を発見。
ただしーー。
「先客がいたか。だが俺だって!」
ーーその一団を発見し追いかけていたのは俺たちだけじゃ無かった。かくして、いくつもの勢力の複数の機体が複数のターゲットを狙う、争奪戦の名に相応しい大混戦となった。
俺は『ムウ』からの情報を参考に、マルチバレットマシンガンのモードをビームへと変更する。先行していた機体からの銃撃を避けるための、無人機の少し無理な挙動を俺は見逃さなかった。
「そこだ!」
輝く曳光弾とともにマルチバレットマシンガンから吐き出された弾丸は、狙い通り無人機へと命中し、その機能を停止させた。
「よし、後は」
無人機のフラッグを奪うために、横取り狙いの他の機体を牽制しつつ、素早くフラッグを奪い取る。
俺の『ミラージュF』は空中での『追いかけっこ』では並大抵の機体に負けることはない。それは今回も例外じゃなかった。悠々とフラッグを奪い、即座にその場から離脱する。
「『ムウ』今どこに?」
〈真横にいる〉
「おぉっ!? 戦果はどうだ?」
〈三つ目を取った。『タツヤ』は?〉
「俺も今ので三つだ」
無人機の一団は全部で十二機だった。状況を見る限り、そろそろ全て落とされる頃だ。そうなってから本当の意味での争奪戦になる。
最初から無人機を狙わない対人戦特化もいるだろうし、これ以上の戦果を望めばより激しい戦闘に加わる必要がある。それは当然、自分のフラッグを奪われるリスクが、さらに増えることにもなる。
「戦果はチームで六つ、か」
〈半数取れたんだから上出来〉
「だな。そんなわけで、今から戻りますよ。いいですね『こめっと』」
俺の呼びかけに対し『こめっと』は、あの特徴的な声で応じた。
「うん、上出来だよ。横取りされる前に戻っておいで」
「了解です。よし、戻るぞ『ムウ』」
〈だけど『タツヤ』、その前に〉
「ん? ああ、あいつらか」
既に複数の機体が俺たちの方へと向かってきていた。
四方八方から、いろんな勢力のいろんな機体が。
「『ムウ』、この場で迎撃したい。出来るか?」
〈面白そう。背中は任せた〉
よし、そうと決まれば、だ。
俺と『ムウ』は、機体を背中合わせにし空中で制止させる。
……敵が来た。
機動性の高い数機が突出している。だが、いくら数が多くても、連携は取れていない。
警報が鳴る。
射程の長い射撃装備にロックオンされたようだ。タイミングは、……今!
「『ムウ』!」
〈了解〉
そのテキストウインドウが表示されるよりも早く、『ムウ』の操る『ドリーム・フェザー』は動いた。
完璧なタイミングで射撃を回避しながら、小型の電磁加速銃、所謂ハンドレールガンと呼ばれる装備で反撃した。
その狙いは完璧だった。一撃で敵機の頭部へと命中し、光学センサーを潰す。その敵機は二発目を撃つことなく、そのまま撤退した。
これで一機撃退。
だが、まだまだ沢山敵はいる。
「さて、これからだ」
俺も『ミラージュF』にマルチバレットマシンガンを構えさせ、迫り来る敵たちに狙いを定め、そしてトリガーを引いた。
乱戦が始まった。
俺と『ムウ』は互いも死角を庇い合いながら、精密射撃と弾幕射撃によって、迫り来る敵機を迎え撃った。自分の背中を預けた仲間のことを、そして『ムウ』のことを、これほど頼もしいと思ったのは初めてだ。あえて言葉には出さなかったが、『ムウ』が俺のことを信頼してくれていると強く感じられた。
気のせいなんかじゃ無いはずだ。何故なら俺自身が『ムウ』のことを信頼していたのだから。そんな風に思いを一つに出来ていなければ、こんな風には戦えなかっただろう。
そして実弾の残数が気になり始め、銃身の廃熱が追いつかなくなりそうになった頃だ。
「やっと退き始めたか」
多くの機体が逃走を始めるか、狙いを他の機体へと変えたことが、サブ画面のレーダーで確認できた。
横取りは手間をかけずに楽にやるのがセオリーだ。
こちらの技量がそれなりの高さだと理解させれば、大抵はおとなしく退き別のターゲットを探しに行くものだ。
〈まだ終わってない。接近二、二刀流と射撃型〉
「迎撃する! 二刀流を押さえておいてもらえるか?」
〈射撃型を黙らせてもらえるなら〉
「上手くやる。信じてくれ」
〈了解。信じた〉
そして俺たちは、それぞれ別の機体へと狙いを定め、二対二の戦闘を開始した。
「装甲の厚い近接型と、同じく装甲の厚い射撃型のコンビ、か」
俺のマルチバレットマシンガンはビーム、実弾共に、単発での威力は低い。『ムウ』の『ドリーム・フェザー』が装備する、ハンドレールガンとビームマシンガンも同様だ。
攻撃を受け止めることが前提となるような重装甲の機体が相手では、俺と『ムウ』の射撃装備は少々分が悪い。
あの二機がここで撤退しなかったということは、最初から俺たちが狙いだったのだろう。
「だとしても、勝機はある!」
俺はマルチバレットマシンガンのビームバヨネットを展開し、射撃機の方へと一気に機体を前進させた。
遠距離で打ち合うことが前提の重装甲機なら、どうせ射撃対策は万全なんだろう。だったらチマチマ打つよりも、接近戦で一撃当てて動きが止まった隙に即離脱だ。近接特化型と組んでいるということは、逆に考えれば、自身は近接戦闘が苦手なはずだ。
side『ムウ』
〈先行して引き剥がす〉
私は機体を前進させ、間合いを一気に詰めた。
敵近接特化型が右手の刀を振り下ろす。
私もそれとほぼ同時にビームマシンガンから展開していたビームバヨネットを振る。
交錯。
刃が触れ合ったその一瞬、僅かな衝撃を伴いスパークがまき散らされる。一撃目が通らなかった。
でも、これで終わりじゃない。
〈斬り伏せる〉
すでに抜刀し、左手に装備していた振動刀で切りかかる。
振動刀は、超振動を加えた刃によって対象を切断する、近接戦闘用装備の総称だ。
隙を生じさせない二連続の斬撃。
しかしーー。
〈これも防ぐか〉
ーー敵機は私の二回目の斬撃をも、残る左手の刀で弾き返した。
相手の機体から追撃を受けたら、私の『ドリーム・フェザー』じゃ防御出来ない。即座に脚部のスラスターを吹かし後退する。
敵機は私を追いかける為に前進してくる。
これで一対一の状況が作れたんだから、一応は作戦通りだ。後は適当に距離を取りつつ、この敵機を私の方に引きつけておけばいい。そうすれば、『タツヤ』があの射撃型をどうにかしてくれるはずだ。
でも流石近接戦闘特化型、と言うべきかもしれない。
近接戦闘には接近というリスクが伴う。
近接戦闘に特化すれば、攻撃可能範囲が限定され、チーム戦においては時に足を引っ張る可能性すらある。それだけのリスクを背負っていてもなお、『剣豪』や『サムライ』などと呼ばれるような、近接戦闘特化型の使い手は少数ながらも常に一定数存在する。
その最大の理由は、近接戦闘による見返りの多さだ。
近接戦闘用装備は、同じ様な性質の射撃装備よりも、遙かに強大な威力を誇る。
ビームガンよりもビームブレードの方が。
マシンガンよりもソニックブレイドの方が。
装甲貫通弾よりもインパクトパイルの方が。
近接戦闘用装備の方が確実に高い威力を誇る。
それが接近という巨大なリスクを背負うことになっても、戦闘を一撃で終わらせる威力を誇ることは確かな事実だ。だから近接戦闘特化型の使い手は、かなり高いレベルの操縦技能と決して揺るがない精神力を持っている。
そして、近接戦闘特化型の使い手には、ある暗黙の掟がある。
〈『近接戦闘における敗北は許されない』。一筋縄ではいかないか〉
その暗黙の掟こそ、近接戦闘特化型が切り札足り得る理由だ。
さて、どうするか。
近接戦闘特化型には短距離での突進力がある。下手に隙を見せたら背中からバッサリだ。
私の『ドリーム・フェザー』は基本的に単発火力が低いから、装甲の厚い近接戦闘特化型相手じゃ決め手に欠ける。比較的脆いセンサーや間接狙いの射撃を中距離からチマチマ当ててくしかないけど、いつかは突進によって間合いを摘められて斬られるだろう。
一応盾は装備しているけど、多分役に立たない。密着間合いで使える『とっておきの切り札』も、近接戦闘特化型相手じゃリスクが高すぎる。
と、なれば、やはりここは『タツヤ』を信じるしかない。
『タツヤ』も、きっと私のことを信じていてくれるから。
side『タツヤ』
『ムウ』が近接戦闘特化型を引き受けてくれたおかげで、俺の方も、この重装射撃型の相手に集中できた。
「しかし、さすがに堅いな」
ビームバヨネットの一撃目は簡単に防がれてしまった。
相手が防御動作をした訳じゃない。ただ純粋に、その厚すぎる装甲に阻まれたのだ。
そして、そのことに驚いている暇はなかった。
危険を察知し本能的に機体を全力で後退させたその直後、俺の機体がさっきまでいたその場所を、敵機に内蔵されていた機銃から放たれた火線が走った。
その後は、ひたすら中距離での撃ち合いになった。敵機の主兵装は実弾型のスナイパーライフルとマシンガン、そして機体に内蔵された対空迎撃用の機銃だ。
「スナイパーライフルの二射目までの隙をマシンガンでカバー。それを抜けてきた相手は仲間の近接戦闘特化型が切り捨て御免、ってわけか。良く出来たコンビだ」
だが今は、その近接戦闘特化型は『ムウ』が引きつけてくれているので、絶好のチャンスだ。
「後はこれで!」
敵機からのスナイパーライフルによる射撃を回避し、一気に間合いを詰める。
いかに二射目までの隙をマシンガンでカバーしているとはいえ、隙そのものは存在する。それを見逃しはしなかった。
「あたれ!」
トリガーを引く。
マルチバレットマシンガンから放たれたビームの弾丸は、狙いを逸れるこなく敵機の内蔵機銃に命中した。
「よし! 例え装甲が厚くても、内蔵武器の強度までは上がるまい!」
欲を言えば内蔵弾薬による誘爆まで期待していたが、流石にそこまでは無理だった。
後はスナイパーライフルとマシンガンを避けて、懐に潜り込んで近接攻撃で装甲を抜ければ俺の勝ちだ。
とはいえあの正面装甲、あの厚さはそう簡単には抜けないだろう。斬撃は通らなかったが、最大出力での刺突ならば通るはずだ。
……ん?
……あの機体、本当の狙いはまさか。
もし仮に『そう』ならば、さっきから引っかかっていたある一点について答えることが出来る。
「だとすれば試す価値がある、か」
今、確かな勝機が見えた。
少なくとも俺になら、あの機体の攻略法がわかる。
俺が勝利を確信した時、『ムウ』からの通信が表示された。
〈『タツヤ』、そろそろマズいかも。あの二刀流、サシじゃ勝ち目がない〉
それに対してどう答えるか?
「後一分以内にケリを付けて合流する!」
俺は何のためらいもなくそう答えた。それと同時に、マルチバレットマシンガンからビームバヨネットを展開し一直線に機体を突貫させた。
俺は敵機を真っ正面から見据える。
たったコンマ一秒の誤差も許されない。
ヤツが仕掛けてくるとすれば--。
「ここだっ!」
俺は叫んだ。それと同時に機体の進行方向を、多少の無茶は承知の上で急旋回させた。
直後、敵機の分厚い全面装甲が、突然弾け飛んだ。
やっぱり予想通りだった。
敵機の装備していたスナイパーライフルとマシンガンは、主兵装かもしれないが切り札じゃなかった。
射撃に特化した機体の弱点は近接戦闘というセオリーを逆手に取った、一発逆転の隠し玉。
「本命の切り札は、装甲内部に隠してあった、ジェネレーター直結型の拡散ビーム砲ってわけだ」
かなり珍しい、『ロマン装備』なんて言われるような物の一つだ。
機体の装甲内部に隠された、ジェネレーター直結型の高出力ビーム砲。
絶大な威力を誇る装備だが、発射前と発射後に機体が硬直し、全面装甲を開けてしまうために防御能力が著しく低下するという、決して見過ごせない欠点がある。また、機体の内部に銃口を隠すために小型化を余儀なくされ、結果としてビームがすぐに拡散してしまうので、中、近距離でしか有効打にならない。
それを補い、相手を有効な間合いに誘い込む為にあるのが、あのスナイパーライフルとマシンガン、そして僚機である近接戦闘特化型だったのだ。射撃に特化した機体でありながら、装備が実弾系のものばかりだったのも、ジェネレータの出力をなるべく拡散ビームへと回すためだろう。
「全ては中、近距離間合いでの切り札を当てるため、か」
とはいえ、外れてしまえばもう怖くない。
俺は拡散ビームを明後日の方角へと打ち出した敵機の背後へと回り込み、そして蹴りつけると同時に一気に機体を加速させ離脱した。
墜落する敵機と大混戦の戦場を尻目にして。
×××
『こめっと』は自分の心拍数が跳ね上がっていることを自覚した。
そしてその原因が、『タツヤ』と『ムウ』の戦闘を見たことによるものだと、少々冷静に自己分析した。
この感情は喜びだ。
久しく忘れていた、なににも代え難い至福の感情。
この光景こそ、自分の正しさをなによりも象徴するものだと、『こめっと』は改めて思った。
長距離スコープで戦闘の様子を見ていた『こめっと』は思わず呟いた。
「うわー、やっぱりすごいな、あの二人は。選んで正解だった」
『こめっと』は、改めて周囲を警戒する。
接近してくる敵影は無い。
恐らく今日は、これ以上の戦闘はないだろう。
(個々人としての操縦技能もそうだけど、チームとして合わさったときには、それがさらに倍増する。何より、ピンチの時でも冷静さを失わないで、柔軟な発想で乗り越える能力……。うん、やっぱりボクの見込んだ通りだ)
『こめっと』は一人、静かに笑みを浮かべた。
自分の見込みが間違いじゃなかったことの喜び。
そして、ここまで事態が予定通りに進行していることの喜び。
そんな思考がディスプレイの向こう側へと漏れないことを知っている『こめっと』は、ディスプレイを見つめながら、より一層の満面の笑みを浮かべるのだった。
×××
「どうにか間に合ったっ!」
俺はそう叫び、『ムウ』の『ドリーム・フェザー』を追う近接戦闘特化型へとビームマシンガンを打ち込んだ。
〈ナイスタイミング。後ちょっとでゲームオーバーだった〉
「それにしてはダメージらしいダメージが見あたらないけど?」
〈ダメージ食らったらその時点で終わり。あの突進力と鋭さはやばい〉
「……なるほど。確かにヤバいな」
周囲を見渡すと、一部の岩がやたらと綺麗な切断面を見せていた。確かに、とんでもない技量の持ち主のようだ。
「さて、どう行動してくる?」
敵機から距離を取り合流した俺たちは、相手が次にどんな行動にでるのか、固唾をのんで見守っていた。
敵機の行動は早かった。
即座に反転し、俺がさっきまで戦闘していた方角、つまり僚機である射撃型が墜落した場所へと向かった。
「深追いしてくるようなタイプじゃなくて良かった」
〈同感〉
この時点で俺の射撃装備は、実弾の残段が尽きており、なおかつ近接戦闘特化型の方は分厚い装甲でビーム攻撃なんてほとんど通らないだろう。
それでも撤退したのは、二対一を不利だと考えたからか、あるいは僚機の救出を優先するためか。
まあ、そのことを知るのは本人だけで、俺たちにとって重要なのは、戦闘が余計に長引かなくて良かったということだけだ。
「俺たちも、そろそろ拠点に戻るか」
×××
さて、どうにか戦闘は一段落し、拠点へと戻ってのんびり採掘をしていた時、昨日と同じように『こめっと』は唐突に言った。
「昨日言ってたオフ会の件なんだけどさ。ちょっと急だけど再来週の日曜日とかどうかな? ちょうどイベントも終わるし」
「……その日なら大丈夫だ」
「私も大丈夫。なんか楽しみだな」
「俺も予定は空いてます。大丈夫ですよ」
『こめっと』の提案に対し、皆口々に賛同した。
そんな中、ただ一人沈黙を保っていた『ムウ』へと、『こめっと』は直接質問した。
「『ムウ』はどうかな? その日、大丈夫そう?」
少しの沈黙の後、テキストウインドウが表示された。
〈行けそうです。私も楽しみです〉
×××
そんなこんながあり、それなりの時間になったので俺はゲームからログアウトした。
どうせ明日も普通に授業がある。授業態度の良さだけが取り柄の俺が、寝坊して遅刻などシャレになってない。
そんなことを思いながらベッドの上でゴロゴロしていると、唐突にケータイの着信音が鳴った。
表示されていた名前は、今日の休み時間中にアドレス交換をした『夢宮翼』だった。
「はい、もしもし天城です」
「こんばんは」
「……で、なんのようですか?」
「随分とそっけないんだね、天城くんって」
「いや、まあ、大体こんな感じですよ? 人と話すのって結構苦手ですし」
「ふーん、そうなんだ。ゲーム中だと全然そんな風にも見えないのに。……ねえタツヤ」
「!?」
とても驚いた。
名前で呼び捨てだと!?
そんな風に俺を呼ぶのは、せいぜい俺の親くらいだ。
「あれ、何を驚いているの? 私はただ、ゲーム内でのユーザーネームで呼んだだけだよ?」
まあ、確かにそうだな。
冷静に考えればその通りだ。
「それにしても、まさか自分の本名をユーザーネームに使うなんて」
「考えるのが面倒だったからな」
本当にただそれだけだ。
ゲームをやるときの主人公に付ける名前も大体これだ。
「本名でやってたら誰かにバレるかもしれない、……とか、そういうことはどうでもよさそうね」
「そうなったところで、特にどうなるわけでもないし」
「あのテのゲームは男女比率がとんでもなく偏ってるのよ。だから、何となく気まずいの」
「それはまあ、確かにそうだろうな。そういう意味だと、俺たちのチームは結構珍しいかもな」
「そうね。私と『ヒメ』は確実に女だし」
「『こめっと』は?」
「あの人に関しては、本当によくわからないわ。オフ会に行けば素顔が拝めるわけだし、そういう意味では面白そうね」
「……来るのか?」
夢宮さんが躊躇っていた理由もわかる。
彼女もまた、ただの女子高校生にすぎない。素性もよくわからない連中の集まりに出席するともなれば、警戒するのが道理だ。
「さっきも言ったでしょ? どうせ正体を隠したって仕方ないんだし。それに、悪い人達でもなさそうだし、タツヤもいるし」
「随分と頼りにされたもんだな。まあ、少し嬉しいけど」
「いざとなったら、あなたを盾にして逃げることにする」
「……そいつは勘弁して欲しい」
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