第117話 戦闘
ヨハネはもう一度自分の体を調べた。
先ほどまで白かった傷口からは赤い血が噴き出していた。それでもヨハネの全身には力が満ち満ちていた。彼の顔は真っ赤に染まり、彼の体には未体験の興奮が取り憑いていた。彼は馬車をひっくり返した細い丸太を探した。それは街道脇の草むらに弾き飛ばされていた。それに走り寄ると、両腕でそれを抱え上げた。
両
彼らは余計なケガをしたくない、と考えたのか、四人でヨハネを遠巻きに取り囲んだ。そのうち一人、メグが逃げた方向にいる兵士に向かってヨハネは車軸の棒を振り下ろした。その棒はその兵士が持っていた
落ちた
大きく肩で息をし、血を流しながら周りを
そしてそのうちの一人が怒鳴った。
「切り殺されたくなければ降伏しろ!」
「黙れ!」
ヨハネはそう怒鳴り返すと、車軸の棒を大きく振り回して兵士たちを威嚇した。兵士たちは、ヨハネを遠巻きに囲んで、剣の切っ先をヨハネに向けてジリジリと距離を取り続けた。
ヨハネは疲労と出血で意識が
目がかすれ、膝に力が入らなくなってきた。
その瞬間、彼の後ろから石が飛んできて、彼の後頭部に当たった。後ろにいた兵士が投げたのだ。
ヨハネは前のめりに倒れると、そのまま気を失った。
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