第112話 三人の決意
シガーラの鳴き声はいっそう大きくなった。太陽は天上から三人を照らし続けていた。
白い
「ペテロ、パウロ、お前たち二人はこの件に巻き込みたくない。だから商会に残ったまま情報だけ提供してくれ。そのために二人は今までどおり商会の仕事を続けてくれ」
「計画があるのか?」
ペテロは聞いた。
「私はまだ奉公人頭だ。二人の売却が決まったふりをして馬車で商会から連れ出す。行先は二人の故郷ではまずい。あそこはアギラ商会の人間と取引している人買いがたくさんいる。人づてにカピタンに伝わってしまう。別の街が望ましい。ドン・フランシスコ二世の城下町がいいだろう。あそこはエル・デルタ以上に栄えている街だ。メグとマリアには織物の技術がある。私には馬車と土木の経験がある。そこで生活を立てる」
ヨハネの考えは具体的だった。
「お前はよく俺に向かって『
ペテロは聞いた。
「……ない。だが今回は大急ぎでやらねばならない。二人は絶対に助け出さなければいけない。女の奴隷は、売春宿に売られるか、東インドの成金たちのおもちゃになるかどちらかだ。あの二人がそれを望むとも思えない。彼女らは自分の身を
「分かった」
ペテロは立ち上がりながら言った。
「ヨハネがそこまで言うなら協力しよう。俺たちはガキの頃からの友達だ」
「僕もやります」
パウロは立ち上がった。
「頭のためならやりますよ。僕も『心の負い目』を作りたくないですからね」
三人は輪になって両手を合わせた。
「それでこれからどうするんだ」
ペテロは聞いた。
「速さが最優先だ。あのカピタンだ。マリアとメグの
ヨハネは珍しく早口でよどみなくしゃべった。
「場所が分かったらどうするんですか」
パウロが聞いた。
「自分で助けようとはしないでくれ。二人はあくまで忠実な奉公人の態度を崩さないで欲しい。そうしなければ計画がばれてしまうかもしれない。実行するのは私のみ。失敗した時に責められるのも私のみ。もし女奴隷小屋に二人がいるのなら、奴隷の出荷のふりをして私が馬車で助け出す。別の場所なら考え直す。二人とも何か情報を掴んだら、私にすぐ教えてくれ。私はできるだけ自室か、台所にいるようにする」
ヨハネは言った。
「もし救出がうまく言ったらどうするんだ」
ペテロが聞いた。
「最初はニコラスを頼ろうと思う。
ヨハネは答えた。
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