5月1日
「加納先生」
「はい、なんすか?」
「おお、普通のリアクションだなあ」
「もう慣れましたよ流石に。で、なんでしょう?」
「うん、実はね。今週の金曜日に部会があるだろ?」
「はい、ありますね」
「そこでうちのプロジェクトの紹介があるんだけど、それ加納がやってください」
「へ!?」
大変な事になってしまいました。
うちの部会では各プロジェクトの進捗状況を確認するために、それぞれの代表が現在行っている業務の簡単な紹介をしなければならないのです。
紹介自体は5分ほどで終わるのですが、その何が嫌だってアンタ部全員の前で発表しなくてはいけないのです。
部全員といったらもちろん部長はいるし、本部長はいるし、多分社長も来ます。
多分40人以上は来ると思う。
そんな前での発表をこのへたれにやれというんですか?!
この日本語がおかしい加納にやれといいますか課長!?
Fine度胸だね!
「……どうなっても知りませんよ?」
「なんで脅しにかかってくるんだよ……」
「普通もう少し人選慎重にいきません?」
「おまえがいうな! とにかくできるね?」
「はあ、わかりました。仕事ですし頑張ります」
「別に5分だし、期待してないから。気楽にやってよ。これ当日のプログラムね」
「はい」(紙をもらいながら)
<上半期部会プログラム>
①~~~~プロジェクト紹介
②~~~~プロジェクト紹介
③うちのプロジェクト紹介
④社長挨拶
「……」
『④社長挨拶』
『④社長挨拶』
『④社長挨拶』
『 ④ 社 長 挨 拶 』
「ひいいっ!」
「うわっ、なにそのブサイクな顔!?」
社長の挨拶の前じゃねーかあああああああ!
これはもうあれですよ、確実に社長が俺のスピーチを聞くということじゃないですか!
うわ、やばい。気を抜けない。これは今後の進退にも関わってきそうだ。
でも考えてみたらチャンスです! ここで社長の前で素晴らしい発表を行えば、今までの汚名が一気に帳消しまでとはいかなくても、いくらか汚名返上になります。
ここは頑張らなくては!
へたれな二年目社員加納、気合を入れて発表させてもらいますよ!
「で、お題はどんな感じで発表すれば?」
「何だ急にやる気だしたな。まあいいや、えっとね……今やっているプロジェクトの『新シス』についてと――」
「プロジェクトの『進出』についてと――」
「おまえが『今まで行ってきた(仕事の)事』についてかな」
「俺が『今まで行ってきた(失敗の)事』についてですね!」
「頼むよ?」
「任してください!」
しょっぱなからダメダメだった(三時間後に気付いて)
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