4月28日

 先日書いた弁当屋さんに最近は昼飯を買いに行っています。近いから。

 けれどあの店はいわゆる露店でして、その事で俺は初めて行った時から懸念していた事があったのです。


 今日それが起きました。


 本日は物凄い風の強い日だったのです。

 ビル風が加わってハンパな強さじゃない。もう台風の中にいるような風の勢いでした。

 俺はいつもどおり平泳ぎとかのパントマイムとかしながら向かいの弁当屋さんに向かったわけです。


「こんちはー」

「いらっしゃ……あああああああーっ!?」


 と、凄まじい突風の中、弁当を必死に抑えながらお姉さんは笑顔で迎えてくれたのです。

 しかし手を離したその瞬間、発泡スチロールでできた箱が宙に舞っていきました。

 伝票が吹き飛びました。

 弁当を置いていたワゴンが動いて道路に飛び出しそうになりました。


「あら、大変!」

「!?」


 お姉さんは交差点に飛び出した発泡スチロールを追いかけていきました。

 何故か俺が動き出したワゴンを抑えるので必死でした。

 発泡スチロールよりワゴンの方が大事だと思うのですが。


「ちょ、おねえさあーーーーん!? どこ行くんスか! このワゴーーーン!?」

「すいませんちょっと見てて下さい!」

「マジでか!?」

「すいません、ハンバーグ弁当下さい」←普通のお客さん

「えっ!? えっ?!」

「は?いやハンバーグ弁当を」

「えっと……今日はありません」

「じゃから揚げ――」

「それもないんですーすいませーん」(お姉さんのマネ)

「あれ、加納何やってんの?」

「あ、古賀くん!……えっと……」

「転職?」

「ちげーよ!」



 ちなみに今日もやっぱりハンバーグ弁当はなかった。

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