デートの待ち合わせ場所に向かう途中、不慮の事故で命を落としてしまった彼女。
あまりにも突然に訪れてしまった永遠の別れを受け入れられず、何も出来ないまま、まるで彼女の後を追うかのように「殻」にこもり続ける選択肢を取ってしまった主人公。
でも、そんなある日、何も通知が届かないはずの携帯に届いた1通のメールが、彼をとある奇跡へと導く事になり……。
何かしらの思いを生前に遂げられなかった者、現世に残された大事な人たちへ強い後悔や心配の念を持つ者が、「幽霊」と呼ばれる存在になる、と聞いた事があります。あの時、何も別れが言えないまま命を落としてしまった彼女もまた、幽霊となって大事な人ともう一度「最後の日々」を過ごしたいと動き出したのもまた自然な事だったのかもしれません。ですが、彼女にはもう1つ、伝えたい事がありました……。
暗い雨の空模様のように切なくも、それの先に広がる晴れ間のようにどこか暖かな心地も併せ持つ、優しい恋愛短編作品です。