第13話 「私、君に死んでほしくないから!」

何という広い平野だろうか。

そして、それ以外にも戦慄する。

遠目にも、人と人とが戦っているのが見える。


「これ、いつまで続くのかしら・・・」


「ミラベル騎士長があっちの騎士長を説得するか、あっちの偵察隊が満足するまでか、、

なんじゃないか?」


「・・・嫌、だ・・・」


喉の奥から細い声が漏れる。

感じる。

ここで死んでいった人たちの怨念。

その人が流した血さえも、あとかたもなく消え去って。


「私、部隊に追いついたらちょっと後方支援のほうに回るわ。きっとそうした方がいい。マナが尽きるまで、回復支援する」


「おう。そしたら俺もなんか安心だし。、、それでさ、この争いを終わらせる方法、もう一つあるぜ」


「何?」


フィールが不敵に笑った。


「あっちの騎士長を倒すこと、だ」


「・・・ちょ・・・ちょっと待って!やだ!!」


「え?」


フィールが驚いたように立ち止まる。

必死だった。

だが、なぜ自分がそんなに必死になっているのかもよくわからなかった。

でも、精一杯形にする。


「そんなこと・・・そんなことしたら、死んじゃうかもしれない。私・・・わたし」


「フレイア・・・」


「私、君に死んでほしくないから!」


言った。

言い切った。

フィールの瞳がすっと細められた。

そして口元に笑み。


「大丈夫。そんな無茶はしないつもり。だって俺はお前を守んなきゃいけないんだから」


高鳴る心臓。

___認めなくていいのかな、この気持ち。もう誤魔化しようがないんじゃないの?

そう思う。

だが、一方で怖い。

そう言ったとき、彼はどんな顔をするだろう。

結局、私は何も言えないまま後方についた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る