短編集
CODE-01
2 症状
色情信仰および、色情の
および退避方法について。
1、近づかれると子宮が痛い。とにかく逃げろ。
2、色情の業を持ってる人は、大体が金の亡者。
3、相手が逆上しないよう、誘いを笑いに転化しろ。
「相手は失敗したときのことを考えることができていない状況だと思う。
たいていの場合は、思考が乗っ取られているからな。
そういうときは、相手のタイプがどのタイプか見極めてから退避しろ。
本気でのめりこんでくるタイプか、誰かれ構わず手を出してるタイプか、その他。」
「え、そういうのってどうしたらわかんの?」
「慣れだな。あと、勘」
「いやだから、勘が働いてたら、こんなに困ってないってば!」
「あー…まあまずホテルに誘われたら、”ホテル?それってなあに?おいしいの?”
くらいにカマトトぶっとけ。
理性が働いてる相手、すなわち、色情の業に乗っ取られてない相手だったら
普通はスルーされたって気づくだろうから、それでその会話は終わりのはずだ。」
「…それで終わらなかったら・・・?」
「やばい。」
「やばいのはわかってるよ!!!対処!対処法を教えてってば!!!」
「金的かな…」
「は?」
「キン〇マ蹴って逃げろ」
「…あ、うん…努力する………」
「…っていうのはまあ、物理的な方法でだな。」
「うん、待ってた。」
「ん。
このあいだ、お前に
「みがため?」
「うん、古い
「え、そんなんしてもらってんの?俺」
「感謝しろよ?
で、その身固めも、呪符も、祓いも、どれをやっても最後に一番大事なのは
お前がその力や効力を信じるってことなんだぞ」
「あー、そっかー…それ最大の難関だわー…」
「ま、そーだろーな。ほとんどの人間がそうだ」
「うん。俺最初っからそういうの拗ねてるからさ…
どうせまた襲われるんだろ、こいつにも裏切られんだろって思って
最悪の時に挑むんだもん、そりゃ最悪の結果がついてくるよね…」
『…まーたそうやって、勝手に落ち込むんだな。』
嫌な沈黙だ。
コイツのこのジレンマは今に始まったことではないけれど。
ジレンマの輪廻は、幾度か繰り返していけば普通はその遠心力で輪から外れて”学び”を得てステップアップしていくものだ。
その学びを得る前に、自らほっぽりだしているんだから、そりゃその結果がついてくる。
…しかし、ジレンマが心を蝕むのもわからなくはない。
人生には辛い時もある。
でも、アインシュタインの理論の通り、時を動かしているのが宇宙意思であるとするならば。
その瞬間の気持ちの衝撃にとどまり続けるのは重力に逆らうようなものだと思う。
心の中の無重力に任せてしまえばいいのに。
『真面目なんだな』
からっ…こぽこぽこぽ。
ことん。
「とりあえず、ここに、霊験あらたかな石清水で煎れたありがたいコーヒーがある。」
「おおお!」
「これを飲んだ人の一般的感想は”口の中が新鮮”…ちょっと量り兼ねる感想だが
飲んで気持ちが嬉しいと感じたんだろう」
「うん」
「水は長命薬として昔から信仰を集めているものだから、美味しい水を使ったものを口に含めば、幸福も訪れようし、細胞組織も嬉しさに若返って寿命だって延びようぞ」
「天狗様降りてない?」
「うん、来てたな」
「なるほどなぁ…自分自身に左右されるもの、なんだな…」
『おっ?』
「そう。
まあさっきも言った通り、その瞬間に”絶対自分は助かる”って自分を信じることができたら
この世に存在するほとんどの目に見えない悪いほうの事象は、おのずから去っていくさ。」
「そっか。」
「浮遊しろ」
「え?」
「心が喜ぶ方へ、浮遊していくんだ。」
「ふゆう」
「うん。
一辺倒にこりかたまった知識なんて、錆みたいなもんだ。
たとえば私。こうして目に見えない事象を追っているからって、科学を毛嫌いしているわけじゃない。現ローマ教皇だって、科学者だしな。
好奇心のふり幅ってのは、自分の体内の宇宙の進化を推しつづけていくことになる。」
「へー!!!面白いなぁ!!」
「目に見えない宗教を突き詰めていくと、かならず科学の知識が必要になる
アインシュタインの光の理論なんて、知れば知るほど精神的な世界の話に聞こえてくるぞ」
「科学なのに?」
「うん。
気持ちの衝撃を宇宙波だと考えるなら。宇宙のように何度でも、体の中でビッグバンを繰り返して。そうしていい方へいい方へ浮遊して内面の進化を続けていくんだ。」
「浮遊。」
「ま、多かれ少なかれ依存を抱えて生きてるんだ、色んな人間に出会うだろうさ。
呑まれないように、自分をしっかり持っとけよ」
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