第73話『聖獣』
ちなみに問題は大きさだけではない。
猫たちのステータスを見てほしい。
【名前:ナマロウ】
【職業:領地猫 聖獣】
【名前:ガテン】
【職業:領地猫 聖獣】
【名前;ニーキュウ】
【職業:領地猫 聖獣】
おわかり頂けただろうか……。
そう、巨大化した猫たちは聖獣にクラスチェンジしていた。
聖獣と化した猫たち。
この世界で聖獣は大聖国や共和国の保護区域に数体しかいない希少な存在らしい。
それを、その辺の野良猫が何匹も聖獣になっていると知れたら……。
ちょっとやばいかもね。
だが、待てよ。
猫が聖獣というのはステータス見なければわからない……はず。
なら、正体を黙っていれば少し(?)大きい猫としか思われないんじゃ?
むしろ下手に隠そうとしたほうが怪しまれるのでは?
そうだよ! 町ぐるみで猫の大きさはこれが普通ですって顔してれば、外から来た人間も『そういえば猫ってこのくらいの大きさだったかも……』と空気に流されてくれるはず!
コレ、ナイスアイディアじゃね?
割といけるんじゃね?
俺って天才かもしれないね。
「それで本当に誤魔化せると思いますか?」
「…………」
ジャードに突っ込まれて冷静になってみる。
…………。
もうちょっとだけ、別の対策を考えることにした。
「しかし、猫たちはどうしてこのような変化をしてしまったのでしょう?」
「うーん、なんでかねぇ……」
ジャードに言われて原因を思い返してみる。
いや、まったく心当たりがねえわ……。
俺がスキルに成長補助を持っていることとか。
飲み水として常に聖水を与えていることとか。
魔境で狩った強力な魔獣の肉を餌で食わせていることとか。
そういうのはあんま関係ないだろうし……。
かなりの謎である。
その日の予定を終えて夜。
夕食や湯浴みを済ませて後は寝るだけという頃合い。
自室のベッドを見ると、二か月前から飼い猫にしているモノノフが寝息を立てていた。
マットレスの真ん中を陣取って自分の領土ですと言わんばかりの顔をしている。
こういうときは俺が端に追いやられるんだよな……。
あれ? そういやこいつはデカくなってないぞ?
拾った当初と同じ、常識的な猫ちゃんサイズのままである。
不思議に思い、ステータスをチェックしてみた。
【名前:モノノフ】
【職業:領主の飼い猫 勇者の使い魔 神獣】
おいおい、神獣ってマジですか。これ聖獣よりすごいんじゃないの?
しかもいつの間にか俺の使い魔になってるし。
やべえな……。
よし、このことは俺の胸の中だけに留めておこう。
決してジャードにネチネチ言われるのが嫌だからではない。
あくまで混乱を避けるための処置です。
情報公開に適切な時期を見定めるというだけだから。
ホントだよ……?
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