第6話 夏祭りとハイテンション。①

「早く起きてユースケええええええっ!!!」

「ぎゃあああああああ!!!?!?」

俺の目覚めはレイラによる元気を形にしたかのような大声だった。何デシベルだよ。

「ってもうちょっと優しく起こしてくれよ!」

「え、やらしく?」

「や・さ・し・く!!!!!」

「とにかく早く起きなきゃダメじゃない!もう8時よ!」

ほら!と子供が虫を捕まえて親に見せびらかすの如く目覚まし時計を俺に付き出してきた。ってかまたハチか。

「今日は夏祭りよ!サマーフェステボー!」

「あぁだから起こしてくれて…って祭りは6時からだよな?」

「そ、18時から!やっぱりハチね!」

10はどこへ旅立ったんだ?

「ならまだ俺寝ててもよかったじゃん」

「だーめ!私が寝れなかったのにユースケだけ寝るのはズルい!」

「今からでも寝れば…」

「無理よ!楽しみ過ぎて寝れないもの!」

まあそうだと思ったよ。

「とにかく支度すること!いいわね!じゃね!またね!」

そう言ってレイラはドアをドゴォバタンと豪快な音を立てながら閉めて部屋を出ていった。…ドア外れて倒れたがな。開いた口とドアが塞がらない。

とにかく支度、支度。…いや、6時まで時間あるし、俺は一眠りを―――

「ユースケ、私今暇なんだけどっ!」

「って、窓から来やがった!!?自分の部屋に帰れ!!」

今日も元気すぎだ、レイラは。俺には夏祭りではしゃぐ理由は全く分からないが…レイラと一緒なら楽しいのは間違いない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る