魔法少女なんだが、どうやら性病にかかったらしい。

市ノ瀬

感染CASEその1:マジカル☆ヘンシン

 話せば長いことになる。本当に話せば長いことになるのだが、とりあえず今の私の目の前には、黒くおぞましい棒のような形をした生物が、ゆらゆらとしながら左右に揺れている。

そして私はと言うと、淡いピンク色の長い髪の毛を揺らし、ピンク色と白色を基調としたフリフリの可愛らしい"魔法少女"と呼ばれる服装をしていた。

それだけではない。私の右手には、魔法少女物でお馴染みの"マジカル☆ステッキ"と呼ばれる物も手にしていた。


そう、今の私はどこからどう見てもなのだ。


ただ、強いて言うのであれば、皆さんが想像する棒に星やハートの形をした”あの魔法のステッキ”とは違い、どこからどう見ても鞘に収められた一般的な日本刀のような形をしていて、”マジカル☆ステッキ”と言うよりも、”マジカル☆ソード”と呼んだ方が相応しい代物であるというところだろうか。


さらに、極めつけに私の隣には、何故か語尾に「パピ」と付けて人の言葉を喋る、翼の生えた白い猫のような姿をした生物がふわふわと宙に浮いていた。


そう、今年16歳の女子高生にもなる今の私は、どこからどう見ても""なのだ。


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 話を遡れば、桜がヒラヒラと舞う4月の事だ。私、”天城 凛子あまぎ りんこ”は晴れて”聖廟城学園せいびょうじょうがくえん”へと入学することができた。聖廟城学園は、この街では有名な女子校で、数々の生徒たちをエリート大学へと進学させた力強い実績がある。校則は自由で、生徒には伸び伸びと学園生活を送ってほしいという学園長からの強い思いの元で成り立っている学園だった。


そんな名門女子校で、私の学園生活は幕を開けたのである。これから私は、この学園で、可もなく不可もない授業を学び、仲の良い友だち達と昼休みにはファッション雑誌やテレビ番組の話なんかをし、そして、終業を告げるチャイムの後、私たちはオシャレな喫茶店で生クリームがすごい乗った飲み物を、スマートフォンで撮影された自撮りと共に写真投稿サイトに乗せたりなんかしたりしたい。そんな、甘くてオシャレな学園生活を送るというのが、私の一番の望みであり、そして何よりも大きな夢でもあった。


そんな平穏な日々が、約1ヶ月ほど続いたある日のことだ。

その頃にもなると私の周りには、仲の良い友だち達がいて、昼休みにはよく読んでいるファッション雑誌の話や、テレビ番組の話、さらには恋愛の話…と言った、私の望みどおりのガールズトークで会話に花を咲かせていた。


そんな、ある日のことだ。

事の発端は、親友である"美斗 奏海みと かなみ"の一つの噂話からだった。


「ねぇねぇ凛子、知ってる?最近街によく出るって言う

「黒い棒…?ただの木の枝とかじゃないの?」


奏海から詳しく噂話を聞くと、どうやらこの聖廟城学園の生徒の何人かから、その"黒い棒"を見たという話があり、それはただ真っ黒い棒のような姿をした物が、"ただずっとそこに立っているだけ"という奇っ怪な話だ。そして、その黒い棒は一本だけではなく、路地裏や、公園、街の様々な場所で何本も見た。という生徒が大勢いるようだった。

しかし、幸いにもその黒い棒から襲われたなどの話はないようで、誰かのイタズラなのか、なんのために突っ立っているのか…までは、誰一人としてわかってはいない。

それでも、いつ自分の身に降りかかるかはわからないため、帰りのホームルームでも、私たちの担任である”千草 紀子ちぐさ のりこ”先生からは、”下校の際には、くれぐれも黒い棒には気をつけるように!”と、よくわからない注意喚起をされたのだった。


オカルトにはあまり興味がない私でも、いきなり謎の黒い棒の話をされたらたまったものではない。今日は一人では帰りたくない…お願いだから、誰か私と一緒に帰ってほしい…。そんな思いでいっぱいだった。


「あはは…黒い棒って…。きっと…何かの見間違いだよね…」


そんな思いも虚しく、その日の下校時の私はと言うと、悲しくも一人だった。

いつも一緒に下校している奏海は、数学の追試のため居残りになり、他の友だち達は部活動や、委員会の仕事などで、すぐには帰れないようだった。

この日ばかりは、オシャレな喫茶店で生クリームがすごい乗った飲み物を、スマートフォンで撮影された自撮りと共に写真投稿サイトに乗せたいがために、帰宅部という選択肢を選んだ私を、心の底から恨んだ。


もちろん、追試を受けている奏海を待てばよかったのだが、生憎今日に限って共働きをしている両親は帰りが遅く、帰宅部の私は、小学1年生になる弟の相手や、溜まった洗濯などの家事をしなければならなかったため、早く家に帰らなければならなかったのだ。


「何もでませんように…お願いします…何もでませんように…」


私は腰を引きながらやや薄目で、少しずつ、少しずつ自宅がある方へと足を進めた。傍から見れば、間違いなく奇妙な女子高生の姿なのだが、どうにもこうにも先程の黒い棒の話が、私の足を軽快に進めようとはしなかった。


しばらくして、恐怖心が少し軽くなった私は、思い出したかのように肩に掛けていたスクールバッグからスマートフォンを取り出し、家で私の帰りを待っている弟へ買い物をするため、少し帰りが遅くなることを伝えるメールを送ろうとした。


「〜〜ッ!」


その時だった。突然私の後頭部に激しい痛みが走り、私はスマートフォンを手にしたまま、勢い良くコンクリートの地面へと転がった。


「や、やばいパピ!!人を殺してしまったパピよ!!」

「いたた…殺さないでください…生きてます…私、生きてますから…」


ズキズキと痛む後頭部を押さえ私は立ち上がった。幸い、スマートフォンに傷は付いておらず、自分の身に起きた状況が掴めないまま、制服についた砂をパンパンとはたき落とし、変な声が聞こえた後ろを振り向くと、そこには翼の生えた白色の猫のような生物が、ふわふわと宙に浮きながら私の方を不安そうに見つめていた。


「きゃぁぁあああ!!!!」

「わぁあ!!びっくりしたパピ…。落ち着くパピ!落ち着くパピよ!」


突然変な生物が目の前に現れたことに混乱した私は、手に持っていたスクールバッグを勢いよく振り回し、謎の生物に1ポイントくらいのダメージを与えた。


「いやっ!イヤァッ!!近寄らないで!近寄らないでください!!悪霊!!悪霊退散!!」

「痛いパピ!ちょ、本当に痛いパピ!落ち着いてほしいパピ!僕の名前はパピロっ…痛い!マジで痛いパピ!ちょ、ちょっと待て!おい!!!待て待て待て待て!!!」


30ポイントダメージぐらい私の感覚で与えたところで、ふわふわと宙に浮いた生物は、ちょっと一旦そこに座れ。と言いながら、私をコンクリートの地面に正座させ、宙で胡座をかきながら私に説教を始めた。


「なぁ、さっきから痛いって言ってんじゃん。ノートとか入ったスクールバッグってさ、地味に痛いんだよ。僕、小動物だし」

「すみません…急に現れたから…びっくりして…」


 まぁまぁ、いいパピ。とさっきまで付けていなかった「パピ」と言う変な語尾を付け、その生物はいきなり自己紹介を始めた。


「さっきはぶつかってごめんパピ。僕の名前は"パピロウ"パピ。魔法界からやってきた妖精なんだパピ。」

「はぁ…。えっと…私は、天城 凛子あまぎ りんこって言います…。あの…パピロウパピさん…。私…もう帰っていいですか…?」

「うん…待つパピ。凛子よ。ちょっと待つパピ。そして、僕はパピロウパピさんじゃないパピ。僕の名前は、"パピロウ"パピ。」


“パピロウ”と名乗るその生物は、”魔法界”と呼ばれる異世界から来た妖精のようで、最近この街に頻繁に現れるようになった噂の"黒い棒"の姿を追って、この世界に来たようだった。さらに、パピロウが言うには、その黒い棒は”ウイルス”と名付けられていて、元々は魔法界にある森の奥地に生息していたのだが、なんやかんやあって私達の街に大量に送り込まれてしまったようだった。

つまり、そのウイルスたちを一本残らず退治するのが、このパピロウと名乗る妖精の目的だとかなんとかいろいろと説明をされたが、私は早く家に帰りたかったので、話を半分くらいしか聞いていなかった。


「あの…それで、パピロウさんの目的はわかったんですが、なんやかんやあって異世界からウイルスを送り込まれると、私たちも困るんですが…」

「仕方ないパピ。奴らは魔法界からなんやかんやあって、この世界に送り込まれ、こうしている間にもさらに数を増やしているパピよ。今やこの世界における女子高生の8人に1人がウイルスの”感染者”パピよ。」


どうやらその噂の黒い棒が見える人たちは、すでにウイルスに侵された”感染者”であり、一度感染してしまうと、様々な場所でウイルスが見えるようになるだけではなく、このまま感染が進んでしまうと、主に頭痛、咳、くしゃみ、鼻づまりなどといった症状に悩まされるようになるらしい。


「あのぉ…それって…ただの風邪なんでは…」

「違うパピ。そうした症状の後が怖いパピよ。やがて感染者たちは最終的に……」


そう言うとパピロウは、深く息を吸い込んだかと思うと、フゥー…と、ゆっくり息を吐いたのだ。その瞬間に私は、彼が言おうとしていることをすぐさま感じ取った。

恐らく、彼が言おうとしている感染者たちの末路は"死"だ。ウイルスたちに侵された感染者たちは、風邪のような初期症状から、最終的に死へと繋がるのだろう。世間ではそれは"インフルエンザ"と呼び、正直病院に行けば薬を処方してもらえるような気がしたが、わざわざ魔法界からこの世界にやってきた妖精が、そんなことを言うはずがない。いや…お願いだから言わないで。

あまりの空気の重さに耐えかねた私は、ゴクリ…と生唾を飲み込み、ただ静かにパピロウからの言葉を待った。


そして、静寂に包まれた空気の中、パピロウは真剣な表情で、静かに私に向けて言い放った。


「最終的に…性行為セックスができなくなるパピ」

「……」


10秒ほど私とパピロウの間に沈黙が生まれた後、パピロウは再度深く息を吸い込み、ゆっくりと息を吐きながら、私に向けて強めの口調で言い放った。


性 行 為セックス が で き な く な る パ ピ」

「失礼します」


私の後ろでちょ、ちょっと待つパピ!冗談じゃないパピ!と言う声が聞こえたが、私はさっさと立ち上がり、足元に置いていたスクールバッグを手にして急いで家へと帰ろうとした。早く帰らないと弟に怒られてしまうのだ。何せ、今日は洗濯物も溜まっていて一刻も早く家に帰らなければならない。こんなところで時間を潰している余裕など今の私にはなかったのだ。


――シュウウゥ…


すると突然どこからか奇妙な音が聞こえ、その音が聞こえたと思わしき場所を振り向くと、そこには真っ黒い棒のような形をした生物が、身体をゆらゆらと左右に揺らしながら、私たちの方へとゆっくりと近づいてきていた。

その姿は、学園の噂で聞いていた形よりも、あまりにもおぞましい姿形をしていて、学園の噂では"黒い棒のような形"とだけ聞いていたが、実際にその姿は確かに黒い棒のような形をしているのだが、その棒の左右には丸みを帯びた物体を2つ付けていたのだった。

それはあまりに何とも形容しがたい形をしていたが、間違いなくこれが噂の"黒い棒の正体"だった。


「えっ…?えっ?え、何…え、何これ…?ねぇ…何これ?…ねぇ、これって…」

「まずいパピ!ウイルスが現れたパピよ!」


あまりの恐ろしさに私は腰を抜かしてしまい、その場を動くことができなくなった。

その間にもウイルスは、私たちの方へ向かうスピードを変えず、じわじわと歩み寄って来ていた。このままではウイルスに私は殺されてしまう。もっと言うと、黒い棒と2つの丸みを帯びた物体に殺されてしまう。そんな死に方があってたまるものか。


「凛子!魔法の力を使って戦うパピ!この”マジカル☆ステッキ”を使って、魔法少女に変身するパピよ!」

「…ウソでしょ!?私がそんな魔法少女物の主人公みたいなことをするの!?もう16歳の女子高生だよ!?」


私が疑問をパピロウに投げかける前に、パピロウは、無理やり私の手に”マジカル☆ステッキ”と呼ばれる鞘に収まったまるで、日本刀のような形をした物を握らせた。どうやらこれが、パピロウの言うマジカル☆ステッキと呼ぶものらしいが、いろいろと考えている内に、手にしたマジカル☆ステッキは、キュウウウン!と強く光りはじめ、瞬く間に私の身体は光に包まれたのだった。


「まぶっ!まぶしっ!…あの、すみません!これ、すごく眩しいんですけど!!」

「安心するパピ!今から変身だパピ!」


眩しい光に私の全身が包まれたかと思うと、私が着ていた制服は、光となって消え去り、約4秒くらい私は真っ裸にさせられ、キュピンッという軽い効果音を鳴らしながら、私の髪の毛はまるで日本人形のように長く伸びたのだった。そして、何故か私の髪の色は、黒色から淡いピンク色へと変色した。


「すごい…髪色まで変わってる…しかも…サラサラしてる…」


すべての女性が嫉妬する髪パピ。と、パピロウは、不思議そうに髪の毛を触る私を見ながらよくわからないことを口にしていた。

さらに、どこからともなく現れたピンク色と白色を基調としたフリフリの服と、フリフリのスカートは、光となって消えた制服の代わりに、私の肌を包んだのだった。

そうした約85秒ほどの長い変身シーンの後、気がつけば私はキュピピーン!というどこからか流れた音と共に、自分がイメージする一番かっこいいキメポーズを取っていた。


「それが、古の魔法使い”クラミディア”の力を借りた魔法少女の姿パピ!」

「すごい…本当に魔法少女みたい…私、16歳の高校生なのに…」

「さぁ!まずは軽くジャンプして、グーでウイルスを殴ってみるパピ!」


パピロウの言う、古の魔法使い"クラミディア"が一体何者なのかは、私にはわからなかったが、とにかく古の魔法使いの力を借りた私は、身体能力をさらに高めるようで、跳躍力も倍となり、少しの軽いジャンプでも、一瞬でウイルスの懐に入ることができたのだ。

突然私が自分の目の前に現れたことに驚いたのか、一瞬の隙を見せたウイルスの恐らく人間で言う胸元あたりに、私は全力のパンチを思い切り浴びせた。


――グゥゥウウウ!!!


どうやら、ウイルスと言えども痛みは感じるらしく、私の全力パンチによって、少し怯んだようだった。しかし、ウイルスはすぐに体勢を立て直し、ギャオオ!という奇声をあげながら、私に向けて2つの丸みを帯びた物体を器用に使いながら攻撃をしかけてきた。なんとも言い難い光景ではあるが、あの2つの丸みを帯びた物体による攻撃が直撃したら、私の身体はまともではいられなくなりそうだった。


「ちょっ、ちょっとストップ!ちょっとストップパピ!…はい、はい!ウイルスも待つ…待つパピ!…あの、凛子よ。凛子さん。無言で殴るのは、ちょっと…魔法少女物的にもあまりよろしくないパピ…。もっと…必殺技っぽく…凛パンチ!みたいな技名とか、叫びながら殴ってほしいパピ。」

「いや…私、そういう系の主人公じゃないんで…」


再びウイルスは、ギャオオオ!という奇声の後、身体から細長い触手のようなものを出して、私に目掛けて勢い良く振り回してきた。パピロウとの会話で、完全に油断していた私は、不覚にもその触手による攻撃を脇腹に直撃し吹き飛ばされてしまった。


「うぐぅ……」

「凛子!大丈夫パピか!?」


触手の攻撃を受け、壁に叩きつけられた私は、悲痛な声を上げながらもなんとか立ち上がる。恐らく普段の私の姿なら、肋骨あたりが全部折れ、肺は勢いよく破裂し、即死していたレベルの触手攻撃だったのだが、古の魔法使いの力を借りた魔法少女の姿では、軽いかすり傷だけで済んだようだった。まぁ、仮にも物語の主人公が1話目で死んでしまったら、次回から私は霊界探偵として戦わなければいけなくなるため、そこらへんはご都合主義な展開なのだろう。ありがとうございます。


再び触手を振り回してきたウイルスの攻撃をなんとかしゃがんで避けた私は、再びウイルスに近づき思い切り回し蹴りを入れる。すると、ウイルスはヒュギュウウウ!!と言う気持ちの悪い声を出しながらよろけだしたのだった。


「凛子!今だパピ!このマジカル☆ステッキをアイツに振りかざすんだパピ!」

「あの…あの!ちょっと、ちょっと!すみません!ちょっと待ってください。すみません。本当にすみません。これ…本当に"マジカル☆ステッキ"なんですか?どう見ても刃みたいなのが、先端についてるんですけど…」


気にするなパピ!と、謎の生物は何故か自信満々に言うので、私は言われた通り手に持った"マジカル☆ステッキ"を黒い棒へと勢い良く振りかざした。


「え、えっと…こう?…えいっ!」

――グシュワァァ…!


すると、黒い棒は奇妙な音を立てながらたちまち私達の前から消え去ったのだ。恐らくこれがパピロウの言う、マジカル☆ステッキに秘められた"魔法の力"というものらしい。どこをどう見てもただ日本刀で切り裂いただけのようであったが、黒い棒には効果は抜群だったようで、嬉しそうにパピロウは、ふわふわと私に近づきながら話しかけてきた。


「やったパピよ!無事に魔法の力で退治できたパピ!」

「あの…今のどう見ても物理的なダメージが入ったように見えたんですが…」


気にするなパピ!と、パピロウは再び自信満々に言うので、私はそれ以上のことを深くは考えないようにした。


しばらくして、私たちの前から黒い棒が完全に消滅したことを確認すると、私はフリフリの魔法少女の姿から、制服姿の女子高生の姿へと戻った。女子高生の姿になるとさっきまでの可愛らしい服装はどこかに消え、手には鞘に収められた日本刀…いや、マジカル☆ステッキだけが残るだけのようだった。

ガードレールのそばに乱雑に置かれていた自分のスクールバッグを手に取りながら、私はパピロウに話かけた。


「あの…後何体あのウイルスを倒せばいいんでしょうか…?」

「わからないパピ。まだ僕のレベルでは、あと何体倒せばいいパピよ!みたいな力はないパピ。」


あと50レベルくらい必要パピ。と、よくわからないことを言われたので、軽く聞き流しながら私は早く家に帰らなければならないことを思い出し、慌てて家に帰る準備をした。


「こんなことをしてる場合じゃない!早く帰らないと、家で待ってる弟が怒っちゃう!」

「安心するパピ。魔法少女の姿でウイルスたちと戦っている間は、都合よく時間が止まるシステムになっているパピよ」


RPGゲームの戦闘システムと同じパピね。と私の後ろでふわふわと浮きながら、よくわからない事を喋っている謎の生物を背に、私は急いで家へと向かった。


その日から、私の夢見た華の学園生活は早くも幕を閉じ、新たに願ってもない魔法少女としての生活が幕を開けたのだった。


そして、その時の私は知る由もなかった。魔法少女物の作品にありがちな"魔法が使えることを人間に知られてはいけない"とか、”魔法少女である事を人間に知られてはいけない"だとか、そういったリスクを背負ってしまうことに。

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