第9話 吹奏楽部編 final

半月の夜。また音楽室にいた。そしてピアノの前に座る。ピアノの鍵盤を一度押す。

「ポーン」

ピアノの音が部屋の中を回る。たまらなくなってピアノを奏でる。体中が音楽に支配されていく。そうだ、この感覚だ。この感じだ。そして彼は気が付いた。これが自分の求める完ぺきな音楽。楽譜の通り、完璧なもの。酔いしれていく。まるで音楽の中に吸い込まれていき、別の空間に移動したかのようだ。でもここちがいい自分の欲しい音がいくらでも聞こえてくる。そして自分の奏でる音楽以外なにも聞こえなくなった。彼の体は固まり、指以外動かなくなった。月が沈んでも彼の演奏は続いた。そして彼の演奏が終わるころには、彼は学校の都市伝説となっていた。

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