Tw300字ss

杜琴乃

ローズヒップティー

豪華な天蓋付きのベッドと白い小さなテーブル、ゴブラン織のクッションが置かれた狭いワンルーム。郊外の安アパートの一室。

強力な魔除の護符を飾っているので客人などはただの一度も訪れません。

ここは魔女の館、主はわたし。


さあ、今夜もはじめましょう。


グラグラと沸騰した湯を注ぎ

花の色がじわりじわりと染み出せば

ふわりとひろがる媚薬に似たその香り

透明なカップを静かに染める


丸くて繊細な

このガラス製のティーカップは

あなたの心臓

赤く滲む

ローズヒップは

わたしの情炎の揺らぎ

じわりじわりと

あなたを浸食してゆく


これは恋愛成就のブレンドティー


いつかあなたが

振り向きますように

夜な夜な嗜むティータイム

魔女が仕掛ける

秘密のおまじない

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