01、幼児の間はやっぱり不幸?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あーうあぁううぅ(あれここはどこだろう)」
目が覚めた。うまく声が発せられない。それに身体も思うように動かせない。そして何があったのか考える。
(そういえば転生したんだっけ。世界を救う?だっけか。おそらく今は産まれたての赤ん坊というところだろうか...)
「ロイちゃん、どうちたんでちゅか〜?お腹すいたんでちゅか〜?」
考え事をしていると、ふとそんな声が聴こえてきた。そこには純日本人のような黒髪で顔が整った美女がいた。一瞬馬鹿にしているのかとも思ったが今は赤ん坊なので仕方がない。それに何か嬉しい気持ちになる。
「ロイちゃんは食いしん坊でちゅね〜!おっぱいあげるからちょっと待ってねぇ。」
「あぁあゔ?!(おっぱい?!)」
あ、別におっぱいを揉むとかが好きという訳ではない。赤ん坊のくせに自我を持つ俺は恥ずかしいだけなのだ。しかし...
「あんっ!もう!そんなに急がなくてもママは逃げませからね〜」
そう。食欲には勝てなかった。食欲にね。食欲だからね!!?
お腹がいっぱいになった俺は次に睡眠欲にも勝てなかった。
こんな日常が続いたのであった。
ーーー2年後ーーー
俺は読書に熱中していた。この世界の情報を取り入れるためにだ。いくつかわかったことがあった。
まず俺の名前はロイツ=シングラーデ。母親のサミー=シングラーデと父親のモイ=シングラーデの一人息子でタイト村の平民であること。モイもサミーと同じ黒髪で武将髭を生やしている中々ダンディな男だ。そんな彼は村の兵士をしていた。サミーは専業主婦だ。ちなみに俺の髪の毛は前世と同じで真っ黒でいつも短くしている。
この世界には3つの階級がある。
王族、貴族、平民
この3つだ。奴隷もいるが基本的には階級の一つに数えられることがない。
そして俺にとって最も大事なこと。悪魔と人間の戦争について。
まず原因は悪魔が世界を破壊する、ということでそれを人間と天使が手を合わせて阻止しようとしている。悪魔の詳しい意図は不明である。
また、悪魔にも
「もし俺に魔王が見えないんだったらどうするんだよ… 世界を救うどころじゃないじゃん...」
俺の両親は2人とも魔王が見えない。遺伝は関係ないらしいがとても不安になる。
そして最後に。この世界には魔法、スキルがある。
魔法とスキルは似たようなものだが
ちなみに俺は3つ持ちだ。ステータスはこんなかんじ。相手には見えないが自分だけには見えるそうでステータスを公開する際はステータスカードなるものがあるらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロイツ=シングラーデ 2歳
スキル:炎神 創造神 超強化
魔法:
MP:1200
力:10
素早さ:10
知力:400
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
基本、幼児の間は全ての数値が10らしいが俺は知力とMPが異常だった。家族は何にも気づいていないが俺が本ばかり読んでいるので不思議に思っているらしい。
まぁ体が馴染んできたのでそろそろ魔法の特訓や力の数値をあげないといけないかな。
ーーーさらに4年後ーーー
「おい!ロイツ!そろそろ起きろよ!」
俺を呼ぶ声がする。誰だろう?こんな朝早くに
「ふぁ〜... そういえば今日から小学生だっけ。絶対にまだ起きるような時間じゃないじゃん。まだ寝ていたいんだけどなぁ。っていうかさっきの声はマイクかな?」
マイクとは俺の幼なじみの1人マイク=ダイリッドのことだ。金髪で髪が短くとっても元気がいい。父親同士の中がよく、昔からよく遊びに付き合わされていた。
「マイク、こんな早くにどうしたんだ?まだ暗いじゃないか」
俺は窓からだらしなく体を乗り出して聞いた。
「おう、ロイツ。今日は俺達の入学式なんだぜ?身体が勝手に動かないわけがないじゃん!だからちょっと魔法の訓練でもしよう!」
マイクには俺が魔法を使っているところを見られた。その時からずっと2人で魔法について研究している。そのおかげでいつの間にか俺達は上級魔法はほとんど使えるようになっていた。普通、上級魔法は一般兵士でも2、3個しか使えないものなのだ。それを
「マイク...君は本当に魔法が好きだな。そうだね、僕もそろそろ特級まで使いたい。先にいつもの場所に行っておいてくれ。」
「おう!待ってるぜ、相棒!」
マイクはいつもの場所、村のはずれにある平原に向かって走って行った。それを見て俺は服を着替えローブを羽織って窓から家を抜け出した。
ーーー村のはずれにある平原
そこには球体の結界が張り巡らされていた。ロイツのスキル創造神の能力である。スキル創造神は自分の思ったものを創り出せるというチート能力である。ただし生あるものは創り出せないし魔法の創造もできない。結界は魔法を消失させる効果があり、魔法ではないのだがMPを消費する。だがロイツはスキル力で作ったのでMP消費はなかった。
「よし、じゃあ始めるか」
「おう!早くしないと時間がなくなっちゃうからな!」
結界の中には2人の少年がいた。ロイツとマイクである。
2人はいつも通りに魔法を無詠唱・・・で発動させた。
魔法を無詠唱で発動させるには熟練の魔術師にしかできないのだが2人はそんなことお構い無しだった。...というよりみんな無詠唱で使うものだと思っていた。このことを知るのはまだ先になる。
バリバリッ!ドガァン!ドガァン!ザァァァン!
2人はお互いに向かってひたすらに魔法を放っていた。
爆発音などが響き渡る...ことはない。ロイツは特訓がバレないように結界に防音と不可視の効果をつけていたのである。おかげで今まで親にはただ外で遊んでいるとしか思われていなかった。
「...はぁ...はぁ、マイクそろそろ家に帰ろう。今日から小学生なんだからいつもみたいに一日中できるわけじゃないんだ」
雷魔法を中心に放っていた俺は息を切らしながらマイクに提案した。
「.........そゔだな。も、う、そろそ、ろ、かえろ、う...。」
マイクはMPがなくなって地面に仰向けになっていた。特級を早く使えるようになりたいから俺が張り切りすぎてしまった。悪いことをしたかな?
そうしてロイツ達は各々の家に帰ったのであった。
帰り道に一様ステータスを確認しておく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロイツ=シングラーデ 6歳
スキル:炎神 創造神 超強化
魔法:上級・・・水、土、風、光、闇、空間、物理
下位・・・火
HP:124
MP:5200
力:230
素早さ:200
知力:1020
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(結構4年間の間にのびたな。この調子だと特級魔法を使えるようになるのにそんなにかからないかもな。まぁ、火系の魔法は炎神があるからいらないんだけどな)
そんなことを思いながら自分の成長を実感していた。スキル炎神 とは火を自由自在に扱えるものである。いわゆるに俺には火が効かないし魔法でなくても火を扱えるということだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーガラガラッ
俺は外に出ていたことがバレないように自室の窓から帰宅した。
部屋に入った直後一つの人影がドアの前にあるのに気付いた。
(あっ。終わった。)
そんな俺の予想通り近づいてきた母親サミーは俺の頭にまさに巨大隕石が降ってきたようなゲンコツを食らわした。
グスンッ
勝手に涙が出てきた。頭が割れたかのようだ。
そんなこんなで外に出ていたことがバレた俺は入学式までずっと説教をされていた。もちろん魔法の特訓のことは言わなかった。
(やっぱり俺は不幸だぁぁぁぁ!)
そんな言葉が俺の中で何回も繰り返されていたのとは裏腹に
入学式では幸福が訪れるのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーータイト小学校
「マイク... 俺は今朝帰ったら母さんに鬼のように説教されたよ...」
「アッハッハッハッハッ!だっせー!ロ、ロイツ、お前バレたのかよー!ぶふぅっ」
入学式が終わった後の教室、マイクとロイツが盛り上がっていた。
そんな時、後ろから急に声をかけられたのであった。
「あ、あの!あなたがロイツ君ですか!?」
2人は一斉に振り返った。そこには大人になると相当モテルのが約束されているかのような美少女が立っていた。
「は、はい!ぼ、ぼ、僕がロイツ!ロイツ=シングラーデです!」
(噛みすぎた… 絶対に変なやつだと思われた…)
僕はそんなことを思っていた。しかし、彼女は顔を真っ赤にして俺に対抗するかのように言ってきた。
「あ、あ、あの!わ、私、チーク=セイビオと言います!私と!お、お話してもらってもよろしいでしょうか!!!??」
とっても可愛かった。それが僕の第一印象である。
あ、ついでに言っておくとマイクも目と口を開けてチークに魅入っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます