なにがどうしてこうなった

第1話 遭遇-1

ああ、夢か現か。できれば夢であって欲しかったなぁと心底思うわけで。

夢でもこんなに最悪な夢は見たことがない。


試しに顔をぺちぺちと叩いてみる。

…あ、やっぱり痛いです。

うん、泣きたいです。



「オラ、へ、返事しねーか!」

「ひぁっ!う、うう…ごめんなさい許してください」

「ああ?」




だからもうその凄むのやめてくださいってば!



てか近いってば!

なんで不良って近いわけ?耳遠いの?

もうやだよーー!

俺は今すぐにでもここから逃げ出したくてたまらなかった。


「てか、なんでビビってんだよ、お前」

「そ、れは」



アンタが超絶こわいからに決まってるでしょうが!



…とはとても言えるはずもなく。


「お金なら…ないです…から…」



消え入りそうな声で伝えるのが精一杯だった。まあ、そんな蚊の鳴くような声だったから不良様には届かなかったかもだけど。


てかなんでこんな状況になっちゃってるわけ?

俺がいつ不良に絡まれるようなことをしちゃったんですかー!





まあ、…したんだけどね。



話は数分前にさかのぼる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る