暗い世界の攻略方法

プリンセスたけし

第1話 すでにスタートの合図は鳴っていた



意識が浮上する。

それと同時に、今までの世界が夢であったと気がつき、少し落胆した。


あの明るい世界はなんだったのか。

広くて青い海

まっすぐに広がる草原

そのおくには高い山々

少し目線をずらせば、今の技術では考えられないような建物の数々。


そして何よりも、光り輝く太陽と呼ばれた光源。

それは、直視しようものなら、目を焼き尽くされるような光量を放ち、生き物たちに恵みを与えていた。


直視しがたいといった意味では、その光はまさに、神にも等しいといえるだろう。

その神にもにた光に私たちは生きてきたのだ。



・・・・・・と、夢ではそのような内容だったような。

意識がはっきりしてゆくたびに、その夢の内容は薄れて行き、夢の内容は、輝かしい光以外すべて忘れてしまった。


夢だからこそ忘れるもの。そうわかってはいるのだが、やはり心のどこかでは、残念だという気持ちが強く、思わず短いため息がこぼれた。



どうやら、私は胡坐をかきながら寝ていたようだ。

しかし、これといって体に不調は見られない。

多少身体が重くだるいように感じるのは、寝起きだからか・・・それとも

〈はじめてこの身体を動かしたからだろうか・・・〉


とくにやらねばならないことはないのだが、、やはり地べたに座ったままというのはなんとも塩梅が悪い。

頭で考える前に、身体がすでに立ち上がる動作をしていた。


この身体は、身長が6フィート以上はあるだろうか。そこそこ身長が高い。

体格もかなりよい部類に入るだろう。200ポンド以上はあると推定できる。


顔は・・・、近くに反射するものがないどころか、光量さえ怪しい。

この明るさが昼間の明るさって言うものなのだから、相当なものだろう。

1000ルクス未満であることは。間違いない。


ここにいても埒が明かないと、歩き出そうと身体を動かすと、カチャリという金属音が聞こえた。腰の左側を見てみると、一本の直剣が鞘に収まっていた。

手にとってみると、これといって特別な剣ではなく、素材も一般的なものだ。

しかし、初めて持ったような感覚はなく、持ちなれた剣ではあるようだ。


さらに左手には、すでに手袋をはめており、手の甲には、幾何学模様の入った陣が刻まれていた。

使い方は・・・なんとなくだが理解できる。が、今は使う必要はないだろう。


まずは、明るいところへいく必要があるようだ。

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