祝福の朝

 まどろんだ意識で眺めていた

 あちこちに光の柱が立っていく

 空は厚い雲で覆われたまま

 誰もが生きる理由を失っていた


 まだ眠りの中にいるのだろうか

 天使たちが空を舞っている

 彼らの後には光の粒子が尾を引いている

 あまりに繊細でほとんど透明なそれら

 触れるようで触れない光


 もう嵐は過ぎ去ったのだろうか

 街を破壊した大波も今は静か

 地表を覆うギプスも外されて

 無垢の大地に小さな芽が芽吹くよ


 厚い厚い雲が空を支配して人々は光を求めた

 世界中に火の雨が降り注いでいく

 一日中薄曇りの中で火の雨は文明を焼き尽くし

 強い強い風が残骸を吹き飛ばしていった


 抗う事の出来ない大きな力を前に

 宙に逃げ出したお金持ちたち

 彼らはまだ衛星軌道上にいるのだろうか

 厚い雲の上から見下ろしているのだろうか

 またひとつ 空から火の塊が落ちるのを見る


 もう嵐は過ぎ去ったのだろうか

 火の雨は止み 海の怒りも静まり

 大地には小さな生命が芽吹いて

 天使たちは光の祝福を世界中に振りまいている

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